『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年12月21日(土) 雨雪とて

季節が、ようやっと冬に落ち着きかけたように思うのに
それでもちっとも晴れわたらない空を
不思議に思いながら見上げています。

ここは湘南で
わたしは生まれたときからここにいるけど
その呼び方にはちっとも慣れないでむしろ恥ずかしいけど
それでも冬の雪や曇天模様とは縁の薄い、関東のまんなかの海岸地方。
クリスマスがそっと近づいてきているらしいけど
自分のなかのこころもちは、ちっともその気配を察しないまま
相変わらず眠り込んでいて、眠り込みすぎて
お薬切れの気配にがくがくふるえながら
目をさましていたり、
する。

今日は満月だろうか。

大学の門柱に大きなクリスマスリースが下がり
ツリーの点灯式が過ぎ、キャンドルサービスの夕刻の礼拝が終わって
ゆるい坂道を高校生が赤いリボンで飾りました。
山茶花の垣根とか、葉っぱの落ちた銀杏並木とか、ハナミズキの枝を
赤いリボンで飾りました。
こっそりと正門の隣の小さな黒い通用門、
それのドアノブにも赤いリボンが結ばれているのを発見して
一昨日の朝にひとりで笑っていました。


きょうのあしたは、雨雪とて


そらはひとりでこごえていて
はいいろの雲とあまつぶが
一日中ひっきりなしに降りてくる音を聞きながら
わたしはベッドの中にくるまって
巣篭もりみたいに、まるくなっていました
ひびわれた手と
水気をうしなっていく腕を
守るみたくまるくなって
シーツのなかはどこまでも安全だと信じていたいので
わたしは雨の音を聞きながらまるくなっていました
栄養を摂取することもなく排泄をすることもない一日を守る薄いわた一枚。
休眠状態の植物みたいになりたかった、
そう強く念じているじぶんがいるって
今のわたしは知っています。


この雨の音がやんだら
そとは雪でしょうか。




まなほ


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