『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年12月14日(土) ジ・エンド

笑いころげた一日のあとにふっと出口のない場所にとらわれて
ぱくぱくと口をあけしめして、賢明に息をする

もうおわりだ
もうおわりだ

突き上げてくるその声にどうやって抗おうか
うしろから圧し掛かってくるその重さを
どうやってはぐらかして「次の瞬間」まで
この場所に居続けようと床にかじりつく

一秒一秒はあっけなく過ぎるけど
その一秒が闘いのとき

お守りがひとつずつ消えていって
儚くなって
わたしは飛んでいきたいと思う

校舎の屋根から落下した翼を持ちたいという少年の話を読んだ
かれは、最小限の身の回りの品以外に何も残さなかったと話は続き
わたしは
ものの溢れた自分の部屋を見回して愕然とする
わたしがいまいなくなったら
わたしがいまいなくなったら

これらの
ひとつひとつあつめられたわたしの足跡のようながらくたの山を
片付けるという果てしないむなしい作業を誰かに押し付けるんだと


ウデから赤っぽい血が流れたら
すこしだけ強くなれる
すこしだけ戻ってこられる
かも、知れない

そういうちっぽけな望みを託すのはわたしがまだ消えちゃいけないって
言い聞かせようとしているひとつの証かもしれない


サトくん
わたしがもっとぼろぼろになって笑って生きていけなくなっても
あなたはわたしを叱らないで、きっと困った顔で笑うんだろうね
そうして、高い場所から自由落下しようとするこのからだを
その腕で引き止めちゃったり、するんだろうね

あなたはやさしいから
誰よりもやさしいから

もう、どこにもいないのに
それでもまだ
わたしを支えてくれるなんか
フェアじゃないよ
全然フェアじゃないよ



まなほ


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