『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年12月09日(月) アンバランス

1日中眠っていました

外は雪だったそうです

テレビをつけて、新聞をひらいて、ネットをつないで

雪の話題が花盛りで

わたしはなにもしらず

あたまのなかに、しんしんと知らない雪が降り積もってゆきます

昨日みたはいいろの海がどこまでもどこまでも

しずかに

雪をのみこんでゆく、しずかにしずかに音もなく凍りながら雪が

とけて

水に還ってゆく、そのひららかな風景画があたまのなかに明滅する

わたしはなにもしらず眠っていました

ふとんのなかで誰知らずぬくもっていることは、たとえば

あなたのポケットの中で安心な眠りを手に入れることと似通っている

今のところ、わたしの夢はそれひとつきりです


そんな今日は
すぎゆき

ざっと60年近く前の今日に散った火花を誰がおもいだしたでしょうか
この雪の中でつめたいつめたい空気のなかで
どれくらいのわたしたちが、そのことを考えつけたんだろうと
遅まきながら深夜になってわたしは思い出しました
開戦記念日
12月9日
時差の都合で8日なのかもしれない、その日、は
世界のおわりを錯覚させる夏の一日までと結びついて続いてゆくのに
ただ、とてもひっそりとしていることをあなたに指摘されたとき
16歳の無知な小娘だった(そして今も無知であり続ける)わたしは
何も言うことができませんでした
記念日と名づけることもわからず、ただ
黙ってあなたの話を聞くことしかできなかったあの日から、もう10年近く過ぎ
せめて、この日付を忘れずにこころに留め置くことがわたしのできる精一杯です

けれど、わたしは今日、何を記念すればいいのでしょう

しずかにつめたく降り続けた

その雪の中に、どこまでもすいこまれて

なにもかもが消えてしまったような気のする、そんな今日に

ニュースと話題の何もかもは雪に埋めつくされ

ましろく塗りつぶされていきます

ささやかに灯される真珠湾への道筋を記憶しろというさけび



わたしはあなたを真正面から

見ることができるでしょうか




まなほ


 < キノウ  もくじ  あさって >


真火 [MAIL]

My追加