『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年12月04日(水)

ぼくがあんまりむきだしなので

ぼくのからだは鱗をつくった

つめたい風にさらされず

かたい石にもきずつけられない

ぼくのからだが鱗をつくった

触れてみれば ほら

かたくなな皮膚がはねかえす小さなちから

生きものはうまくできているね

きみが微笑む

向こう岸からそうして手をふる

ぼくの指先にひとひら

きらりとひかる鱗をのせて

きこえるよ

扉をたたく音、かちかちかち、ぱちぱちぱち、

たたたたたたたた

寸断なくぼくを叩きつづけるきみの手のひら

ぼくを呼び覚ましたきみの手のひら

目をあければそこは

どこでもない此処だった

きみが笑う きみが微笑む

向こう岸からきみが手をふる

きらりとひかる鱗をまとって

ぼくがたたずむ

この岸辺にはなにが埋まっているのだろう

かたい皮膚をなぞりながら

たたたたたたたた

たたたたたたたた




まなほ


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