ぼくがあんまりむきだしなので
ぼくのからだは鱗をつくった
つめたい風にさらされず
かたい石にもきずつけられない
ぼくのからだが鱗をつくった
触れてみれば ほら
かたくなな皮膚がはねかえす小さなちから
生きものはうまくできているね
きみが微笑む
向こう岸からそうして手をふる
ぼくの指先にひとひら
きらりとひかる鱗をのせて
きこえるよ
扉をたたく音、かちかちかち、ぱちぱちぱち、
たたたたたたたた
寸断なくぼくを叩きつづけるきみの手のひら
ぼくを呼び覚ましたきみの手のひら
目をあければそこは
どこでもない此処だった
きみが笑う きみが微笑む
向こう岸からきみが手をふる
きらりとひかる鱗をまとって
ぼくがたたずむ
この岸辺にはなにが埋まっているのだろう
かたい皮膚をなぞりながら
たたたたたたたた
たたたたたたたた
まなほ
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