以前にも、こんなことがあったような それとも これがはじめてのような
一日のうちの四分の三、は、かるく眠って過ごしている気がして それではどうしたって「ふつうの生活」は営めないのだ
けれど
時間はわたしを忘れてくれず おなじように 生活もわたしを忘れてはくれない
ただしく、日が昇って今日もまた暮れた それだからわたしは眠りの中から這い出して せめてもの、罪滅ぼしをする 帰ってくる家人のために玄関の電気をともし 外に出っ放しで冷えてしまった洗濯物を取り込んで 忘れられてしまった昼ごはんを独りで黙ってかじる
からっぽになったお皿を片付けて あとに残るのは、うす茶色のゆでたまごがひとつ この殻をテーブルに叩きつけて割って、それからぱりり、ぱりりと剥いて 噛み付いて、咀嚼する
それができない たべものを摂取するより だまって 眠っていたい
ゆでたまごがわすれさられる 勤務先から体調を気遣うメールが届く
それからまた わたしは とほうにくれる
誰かが帰ってくるのがとてもこわい それだけはよくわかるけれど それを止めることは誰にもできないから
わたしは 眠っているのだろうか
まなほ
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