もしも。
この指の先に
つながるものがあったとして、それを見つけたとしてそのときわたしは
それがただ自分とは別個のものであると
どこまでわたしは
信じられるのだろう
ぐるぐると境界線をひきながら校庭中をあるきまわった
運動靴のあしあと。
吸い込んでしまった石灰のしろい粉は
いつでも粉雪を匂わせた
いともかわり易い世界をみわたしてわたしがおもう
ころされていったささやかな笑顔は
鉱石になってきらきらひかる
つきささる空は頬につめたく、円環の中央に屹立するのは
氷のようにまぶしい柱。
ぽたりとおちる解けた水のつめたさをわたしは欲して
ただぐるぐると描いている、それに向かって
こごってつめたい指先に薄くひえた金属をにぎって
わたしは描いている
冬の王はすぐちかくまでやってきた
けれど、ここにはかれを招き入れるための玉座の用意がないがため
わたしはまた、ぐるぐると
めぐりはじめる
指先につながる糸をたどって
(それはおそらく血脈の糸)
春と夏と秋と冬と、ただ無節操に粉雪はふりつづけた
それらの粉が、わたしをうずめてこごらせたとしても
それはかれらの意思でもなく、ただ
わたしが逃げおおせなかっただけのこと。
この指先からつながる道のさき
茫洋とした空白をみつけたとして、そのときわたしは
どこまで信じられるのだろう
その空白がほんとうに
わたしからつながり生まれ出でたものであることを
その空白がほんとうに
わたしに属するものであることを
まなほ
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