『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年09月13日(金) 振動

ここに。
何度かアクセスして。
あたらしい日記を書くためのまっしろな画面をみて
だけどキーボードを触るとことばがひとつも浮かばなくて、やっぱりもとに帰る。
そういうことを何度か繰り返して、
今日になりました。


9月も半ばにさしかかり。
夏休みも終わったはずなんだけれども、
ほんの数日の例外を除けば、ひたすら家にこもっていて
食べものへの興味とか
じぶんの体の面倒をみることとか
そういうものが磨り減っていって
活字もあまり読まなければ
映画もビデオも見なければ
なにをしているのか、よくわからない毎日です。

前には、どちらかと言えばダイエットが必要な体型をしていたはずが
気がついたら、もっと太らなければいけない体重になったらしくて
食べものを口に入れて噛んで飲み込んで、消化して栄養にすることというのも
こうなってみると結構な努力を必要とするものだなあ、なんて
ばかなことをしみじみと思ったりします。
5キロ太るのと5キロ痩せるのとどっちが難しいかといえば、選べないってこと。

ただ、ひとに手紙を送ることだけはできるようになりました。
だれかに宛てたことばなら。

次には、誰だかわからないたくさんのひとに向かってことばを言えるだろうかと
そうしたら
外に出て行けるだろうかと
ばくぜんと思ってみたりも、する。


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うちのうらに、古い古いアパートがあって
そこの解体工事が、先週から
長続きの雨にさえぎられながら、とびとびでおこなわれています。

どうやら、更地になったその場所は
ずいぶんと広く見えて
わたしはこの場所に(この家に)もうたぶん15年ほども住んでいるけれど
その場所はもっとずっと狭いと思っていたので
あけっぴろげにぽかんと向こうの路地までひろがってしまった空間をみて驚いて
急に遠くまで見渡せるようになってしまった台所の窓からの風景を
なんとなくおかしなものみたいに眺めています。

わたしにはまったく砂色の更地になってしまったように見える空き地だけど
それでも、まだ、することはあるらしく
今日は朝から工事の車が入って(改めてしげしげと眺めてみるとこれはまったく
おかしな形をした生き物だなあと思う、オレンジ色の作業機械)
だだだだだだだだ、とひっきりなしに音を立てながら地面を歩き回って
心臓をぎゅっと掴むみたいな、不審な振動をこちらに伝えてくるので
だんだんパニックの前触れのようないやなかんじが体の奥からやってくるので
逃げ出そうか逃げ出すまいか迷ってみたりしながら
それでも「ここ」にぺたりと座ったまま動かないわたしは
一体どこまで甘えているのかな、と
つかの間、振動の止んだしずけさの中で考えたり。


とりあえず病院へ行かなければならないのははっきりしているから
外に出るときに踏まなければならない手順を
薄ぼんやりしてる頭の中からひっぱりだそうと、してみる。
こういう状態に陥ると、
たとえばお金とかいう存在がひどく奇異に見えてくるから、不思議。
切符を買わなければ電車には乗れないというあたりまえのことを
知らなかったほんの小さい頃に戻れてしまうから
不思議。


どうでもいいけど恋愛という振動こそいちばん
危険きわまりないものかも知れないと、ほんとうに思う。
そんなような危険な冒険は、今わたしはしたくないので
というよりむしろできないので
それを除外した世界がもしもあったならそこに行きたい(そうして深く眠っていたい)
と、

また、ひとに笑われるようなことを
つい考えています。


じゃあ、
いってきます。


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