『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年07月17日(水) ときふらし


 わたくしは

 よどみもなしにながれるものである

 そう

 あなたはわたしにうそをついた (罪のまじらないその切片)

 ゆきおくれ、たしかめられることもなくながれつづけると

 おまへは

 おいてゆかれたものであると

 あなたはわたしにうそをついた

 ようしゃなく

 あまやかなことばをそらのまうえからふりそそぎ

 わたしをだます

 だらだらとあまく みつのながれるだいちがあるかのように


 らせんにみちたせかいに

 ひとすじのひかりをふらせ (それはまたそらからまいおちたオルガンのしろの鍵盤か)

 さいげんなくゆめをみせた わたしに

 ゆきおくれたとささやき

 しにおくれたとささやき

 うまれおくれたとささやき

 ささやき


 わたしはのぼりつづける

 あなたのささやくままにのぼりつづけるらせんのひとつひとつ (虹に凍る貝殻のうちがわ)

 ふみしめればくずれおちるとせなかからおいたてる

 それが あなたのやくめであれば

 しかたないのか

 ゆるさねばならないのか

 わたしは


 きがつけばわたしは あしたへあしたへとすすみつづけ

 あざわられるように

 かぜがゆれ

 あしもとはたなびく (細かにふるえるがらすの笑いごえ)

 うまれおとされたばしょからは

 ここはとおく

 あなたはわたしにうそをついた

 わたくしは よどみなくながれていたのだと

 わたくしは とどまることをしらないのだと

 わたくしは

 わたくしは


 わたしはもうすこしはやく

 きがつくことができなかったか (ことばを信じていたものの落ちたあな)

 あなたがあなたではなく

 あなたがたであったという たんじゅんなその ことがらに


 いきおくれ

 しにおくれ

 うまれおくれて

 そして

 あなたがたにうながされるまま (あなたを信じるまま)

 はしりぬけてきたわたしの

 とうめいにもならず かたちくずれたむすうのきのうを

 いつくしみたくとも

 おいこしてきた とき は  ただあざわらう

 (おまへはおれのいうとおり あるいていたのではない はしってゐた そのせいで)

 あしもとのすなはくだけたがらすのなごり

 やせほそりはじめたてくびをにぎりしめれば

 それはまた (鳥になりそこねた華奢なしろいほね)(とびだしたせなかのかたちと共に)

 わたしは

 ここからどこへゆけば

 いいのだろう


 とおいむかしからちかいむかしにわたって

 さいげんなく

 あなたがたはわたしにうそをついた


 わたくしはたゆまずすすむのだと

 おわりなどどこにもないのだと

 だれひとり わたくしのこのらせんから

 はみだすことも とびだすことも ありえないのだと


 あなたがたはうそをついた


 とほうにくれるはだしのあしは しろく

 よどみなくながれつづけるときは (あなたがたの言うわたくしは)

 はるかこうほうにおきざられてわたしをおいかけてゐると

 わたしはきがつき

 じぶんがゆきすぎてしまったことを また (すべてはあなたがたの戯言か)

 おもいあたっては

 みつめる しろいはだしのゆびのさきに

 にくしみならぬなみだを

 わらわらとふらせる


 (いつかあなたが囁いたように)



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よくわからないことを書きました。

書いたものがいうのもなんですが、
よくわからないものです。

ただ

病んでいるどこかが降りおちてきてわたしをくだくので。

これは、実験ではなく前衛ではなくこれはただわたしのありのままの
すなおな手段で織り込まれたひとつのことばの群で
詩でもなく詞でもなく、ただ死ではあるかもしれないとぼんやりとおもう。
生と死のさかいめではあるかもしれないとぼんやりとおもう。
そうでなければただ文字と言うかたちをとった塵だろうとおもう。
とくに意味はなく
それを探ることにこそ意味はなく
ただ、なにかひとつの目指す方位がそこにあったとすれば
それがもう、わたしのこころざしたすべてだと言っても、大袈裟ではないのです。
決して、ないのです。

なにか。

浮かび上がったかたちがあったのなら、どうぞそれをおしえてください。

すがたのない、わたしのかたちを。


たとえひとことでも

ひとつぶの数字でも


かたちのないわたしに、どうぞ、ください。



2002年7月17日、夜  まなほ


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