『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年06月06日(木) 白昼夢、黒月夢


 「白昼夢、黒月夢、そしてわかりやすい恋」


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  「 RUNA 」



  あのひとはもう 目をとじてしまいました

  そう言って、男は立ち去っていった


  あのひとが次に目をあけるのはいつですか

  あたしは自分がこぼしたことばを聞いた


  かつん かつん かつん

  足音は消えていく

  そうしてあたしは目ばかりになる


  あしたのための約束をやぶって

  あたしのための言葉もなしで


  今日という一日がうすれていく

  消えはてることもできないくせに

  いま触れているものが何よりも遠くてうすい

  陰をしている、そのことが


  こまどりのために鐘を鳴らしたのは、だれ?

  (それはわたし、とめうしが言った)

  それならば

  あのひとのために鐘を鳴らすのは、だれ?

  (すくなくともあたしではない、そう誰もが首をふる)


  あのひとはもう 目をとじてしまいました

  あたしはまだこうして目をひらいているのに

  あのひとは もう

  目を閉じてしまいました



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消したくても消せない、このまひるの夢は
たぶんとてつもなく「わかりやすい恋」だった。

見えなくなる、おつきさまみたいに。
日々、かたちをかえて
消せない現実を、あたしは抱いてあたためている。
まざまざと立ち現れる陽炎のようなたまご、
だけどまだ涙が出ない。

世界でいちばん強力なけしごむがほしい。

わかったと思っても次の日になればもう元にかえる、
くりかえす願望と現実はメビウスの輪っかみたいに表裏一体で
そのなかを走り続けて、歩き続けて

(サトくん、あたしはどこへ行けばいいんだろう。)

答えのない、質問だったね。

やすらかに眠らせてあげられなくて
ごめんね。

ごめんね。



まなほ


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真火 [MAIL]

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