みちる草紙

2005年04月14日(木) 大江戸捕物帖

先日の暴漢、もといナリばかりデカくて見るからに下種で下卑たその47歳の男が
警察に預けた携帯番号へ、友人に頼んで昨日一日かけ続けてもらったが相手が出ない。

やられた!あのゲス野郎、あろうことか警察で偽称しやがった!
そうか、そうだな、相手はあれだけの人が見ている前で、か弱い女に手加減なく
暴力ふるって逃げようとした奴なんだよ。ああ〜なんでそこに気付かなかったか。
道理で調子よくヘコヘコ謝るはずだよ、一刻も早く解放されたさの一心で
外に出たらもう舌を出していやがったな!畜生!どうしてくれよう西口交番のヘボ巡査!!
見てろよ!このままじゃ済まさん、両方とも新聞やマスコミに訴えてやるぅ!!

…と、昨夜はやり場のない怨嗟に、身を焼き焦がさんばかりだった。
そして憑き物が落ちたように、悄然と悲しい気持ちになっていたのだった。
ちっぽけな女一人が立ち向かうには、この大都会は世知辛すぎる… うう。みたいな。

ところが今日になって『やっと連絡がついた、本人が出た』という知らせが。
なんだぁ… 逃げられたんじゃなかったのか…(^^;)
短気な早合点のあとで、世の中こんなもんだと達観しかけた矢先だった。

今も向うずねの斜に痛々しく残る、内出血の大きな青い染み。
アタシがガリガリに痩せていたら、これ、すねが折れてたかも知れないぞ。
すぐ病院でレントゲンを撮り診てもらったところ、幸い手術跡に異常はなかったが
治療費は相手持ちということで、自費で6,500円を支払った。
ふっ、ここはいっちょ診断書も出してもらって、1万円にのっけてやろうかね。
キサマの稼ぎじゃあ6,000円出すのもさぞ辛かろうにのう、ふははははは…!

ほくそ笑んでいたら、『欲を出さずに確実に取れるだけにしとけ』と窘められた。
欲ったって、立て替えた分を払わせるだけだから、アタシにゃ一文の得もないのだ。
肝心なのは、アタシが痛い思いをした分の、痛い身銭を切らせることなのよ。
でもなぁ、もし相手が払えなかったら、こっちの自腹になっちゃうしなあ。
何かの拍子にふと湧き起こる仏心を払いのけようと、青タンをぢっと見つめ
あの時の怒りをジックリ思い浮かべる。次第に岩も動かせそうな波動がメラメラ。

「何しやがるんだこの野郎!!」←小節のまわる語尾
女が発するこんな怒号を予想もしていなかった相手は、背中を見せて足早に逃げ出した。
「このままで済むと思ってんのか!逃げるな!」
男は急いで電車にとび乗り、アタシの目の前でドアは閉じてしまった。
閉まったドアの向こうに、逃げおおせたと思い込んだクズ男の勝ち誇った表情。
ここで電車が出ればやつの勝ちだが、たとえ死んでもアタシはお前を逃がさない。
ドンドンドンドン!
「降りろーーーーーっ!」

バンバンバンバン!
「逃げるなーーーーっ!」

喉が割れんばかりに怒鳴り、ドアが割れんばかりにガラスをドンドンドンドン叩き続けた。
乗り合わせた乗客全員が、目をまるくしてドア越しに睨み合った両者を注視している。
そして、電車は発車せず、ドアが開いた。駅員が駆けつけた。
『このことは私どもも日誌にあげておきますが、一応警察を呼びますか?』
「はい、すぐに呼んで下さい」←もう落ち着いている

これが捕物のワンシーンだが、何度回想しても武者震いがする光景である。
居合わせた人たち、こういうの見たことあったかなぁ?
きっと誰もが痴漢だと思っただろうが、せめて痴漢程度のオイタなら見逃してやったのに。

あのう、因みにアタシ、普段はこんな言葉遣ってませんから。誓ってm(__)m
それと、危ないので良い女性は真似をしないで下さいね。


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