みちる草紙

2005年03月21日(月) ラ・トゥール展

いかにも春の入口という暖かさ、雨女の誕生日にあるまじき大快晴であった。
今日は、かねてから決めていた“ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展”を観に行くのだ。
目が覚めた時は「ありゃ!もう2時回ってる?間に合わないじゃん!」と焦ったが
よくよく時計を見たらまだ10時10分で、悠々支度をして出かけることが出来た。

しかし上野までは思ったよりかかる。1時半に家を出たのに、着いたのはほぼ3時。
上野公園を取り囲むように美術館や博物館が建ち並び、今回目指すのは国立西洋美術館。

       
       

入口付近には購買欲をここぞと刺激するミュージアムショップが。
しまったぁ、お金を下ろして来るのを忘れて、財布の中には1万5千円しか入ってない(汗)
まあいいや、何か小物くらいは買えるだろう(^_^;)

眼鏡を装着し(普段は裸眼)、切符をもぎってもらい中に入ると、思ったほど混んでいない。
知名度の差か、2年前のベルサイユ展の時は、芋を洗うような混雑だったというのに。
それでも、絵のまん前に行くには人をかき分けねばならない程度の入りはあるので
絵に見入っている間にも、押されたり荷物をぶつけれられたりと、鬱陶しくてしょうがない。
アタシが有力者なら館長にかけ合って、休館日に一人でゆっくり鑑賞させてもらうのになぁ。
…と絵を観に来るたび思うのだが、言ってみても詮無いことである(T_T)

ラ・トゥールは、ルイ13世の御世にロレーヌ公国で活躍した、当時名高い画家であったが
その後の戦乱で作品の大部分が消失し、近年になって発見されたものを含めても
現存する作品数はごく僅かで、今回の展示もオリジナルを元にした模作が多かった。
この画家も光を描く技に優れ、筆遣いから受ける印象はフェルメールを思わせる。
フェルメールも同様に、後世に伝わった作品はごく少ないという点で共通しており、また
灯火に照らされた人々の構図は、後のジョゼフ・ライトに影響を与えたものかも知れない。
と言っても、ラ・トゥールの作品が四散していたことを思うと、ライトが彼の描く灯火を
実際に目にした機会があったかどうかは定かでないが…。
ふと覚える近似視感は、フェルメールとライトの絵を思い浮かべながら観ていたせいだろうか。
数世紀前も現在も、光の色は同じであったとリアルに感じさせてくれる画家が好きだ。

同じ切符で常設展も観られるというので、じゃあ折角だから、と観て行くことにした。
マックス・クリンガーの版画は、いずれも小品ながら良いものが多かった。
ただ、ラ・トゥールの絵を1時間以上かけてじっくり観て回ったあとだったので
目、足、腰がいい加減くたびれてしまい、やむを得ず足早に鑑賞して終りにしたのだった。
勿体ないことだが、この美術館、意外と広いのである。いずれ日を改めよう。
帰りがけ、カタログと、一筆箋やマグネット(ラ・トゥールの絵入り)などを記念に買った。

結局、閉館時間まで居たので、外へ出ると辺りは薄暗くなり、日が落ちかけていた。
帰りの電車がまた長い。うつらうつらしつつ最寄駅に着くと、空はとっぷり真っ暗。
あ〜疲れた。でも帰ったら、すぐには寝かせてもらえないんだな…紋次郎がいるから。
もんくん、悪いけど今夜は早く寝るね、誕生日だから(意味不明)。


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