みちる草紙

2004年12月12日(日) ピアニスト映画

夕食を終えて、テレビを点けたら“戦場のピアニスト”という映画を放映していた。
もともと映画は好きだが、どちらかと言えばクラシック寄りな方で、最近の映画は
あまり興味がなく、殆ど観ていない。よって若手ハリウッド俳優の名も碌に知らない。
そもそも、ボキャ貧配給会社が適当につける、邦題の絶望的なセンスが
或いは食わず嫌いの原因かも知れぬ。
大体“何とかのピアニスト”というタイトルのものが複数あってどれがどれやら、みたいな。

本作は監督がロマン・ポランスキーだというので、先ず連想してしまうのは
確かアタシが生まれた年に起きた、シャロン・テイト(女優、彼の妻)惨殺事件である。
ポランスキーの手がけた作品のタイトルは知っているが、1作も観たことはなかった。
今日も終いの方しか観ていないため、精々ホロコースト映画なのか?ということしか
分からなかったが、青白いポーランド人青年シュピルマンが、ゲシュタポの迫害を逃れ
廃墟に残った食料を漁りながら逃げ隠れ惑う姿が、先日昼寝中に見た悪夢と重なり
ハラハラと息詰まるような気持ちで成り行きを追った。

印象に残ったのは、一流ピアニストとしての貴公子然と澄ましたシュピルマンと
飢えと恐怖によって餓鬼のような乞食と化した、浅ましい姿のシュピルマンとの
イメージのギャップ。
彼に情けをかけた奇特なドイツ人将校は、恩返しの期待空しく、戦後戦犯収容所で死に
将校に救われたシュピルマンは、その後50年余りを生き天寿を全うしたということ。
しかし、やはりどうも全編を通して観ないことには、感想らしい感想は述べられない。
DVDを買ってまで観たいという作品でもないが、近所にレンタル屋がないので
2時間半をノーカットで観る機会が、果してあるかどうか…。

同様に、消化不良の心残りのある映画に、アンジェイ・ワイダ監督の“悪霊”がある。
これは、ドストエフスキーの原作を読んだのが後だったために、映画を先ず観た時は
登場人物同士の絡みや複雑なストーリーが、今ひとつよく飲み込めなかった。
これは多分に、当時の知的成熟度や考証の未熟さもあるだろう(未だにそうだけど)。
原作の長編を読了後、それぞれのシーンを思い出しては改めて意味を理解したので
是非もう一度最初から観直してみたいのだが、これも機会を逸したままに十数年が経過…。

BSの受信契約をした方が早いかもな〜(^_^;)


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