土曜日生まれは腰痛持ち

2010年08月03日(火) 突然ですが、「人気ないのが納得いかんアニメ」選

・のらみみ(1期・2期とも)
「ドラえもん」「ド根性ガエル」「オバケのQ太郎」
といった定番から、
近作では「おねがいマイメロディ」「ジュエルペット」など、
「こどものいる家になぞのキャラが居候」という設定の名作は
枚挙にいとまがありません。
そんな「キャラ」の派遣ビジネスが一般的になっている
世の中を描いたのが、この「のらみみ」です。

かみなり小僧「のらみみ」(CV加藤奈々絵)は、
ひょんなことから知り合った
派遣会社の不器用な社員・半田くん(白石稔)と一緒に
「ハローキッズ」という事務所にご厄介になり、
居候家庭のあっせんを待ちながら、事務や掃除を手伝う毎日です。
好物の水あめが入った壺には、
唯一読める文字「の」の一文字が書かれています。
(後にはぐんと字を覚え、PC操作もこなすようになるようですが)

そんなのらみみくんと、
彼の妹分で彼と同じく事務所に居候するシナモン(喜多村英梨)、
セリフの有無はともかく、
毎回1シーンは顔を出すかっぱくん(岡本信彦)などの
レギュラー、準レギュラーを初め、
単発で登場するキャラや、
それを迎え入れるこども(時には大人)たちに、
みんなそれぞれにほどよい個性と魅力があります。
それでいて、設定やせりふ回しに世知辛いところがあったりして、
どちらかというと大人向けでしょう。
原作も青年誌でしたし。

キャラは年をとらず、人間への恋愛感情も抱かない。
(ご主人様である「こども」への愛情はもちろんありますが)
だから面倒もなく、ただ近くでこどもの成長を見守り、
「そのとき」が来たら、こどもたちのもとを去って、
新しいこどものもとで、
また「キャラ」としての生活を始める…の繰り返しですが、
対するこどものほうは心身ともに成長するし、
時にはキャラにキャラ以上の気持ちを抱くことだってある。
その辺の繊細な描写がすばらしく、
エピソード1本1本、バランスよく丁寧に涙と笑いを誘います。

単発も含め、声優さんがみんな役にはまっていますが、
特に喜多村英梨さんのかわいい関西弁キャラはお見事でした。



・GA芸術科アートデザインクラス
原作掲載がいわゆる萌え系4コマ誌ということもあり、
まあ「そういう絵」の「そういうアニメ」っぽいのですが、
仮名4文字タイトルが主流(?)の「その手のアニメ」の中で、
この長いタイトルは異彩を放っています。
正直、これで少し損している気もするのですが、
いいものは紛れもなくいいということで。

とある私立高校の「GA」と呼ばれる
美術専攻の1年生女子たちと、
それとは別にある美術部の面々」の
(所属は普通科から工業系までさまざま)
ちょっと間抜けでラブリーな日常の記録の中に、
いっぱしの美術通になれた気分になる
(そしてちゃんと興味が持てる)美術薀蓄が
たっぷり盛り込まれた作品です。
ギャグのテンポのよさはぴか一といっていいでしょう。
アニメで見ても、原作を読んでも同じように笑えます。
生徒たちを優しく厳しく見守る先生たちのキャラづけも
なかなかです。

特に核になるのは1年生の5人組ですが、
「ノダちゃんみたいなオシャレさんと一緒に
お買い物したかった」とか、
「キョージュみたいなクールビューティーを、
「マサ」ってオッサンみたいに呼びたい」とか、
もう戻らぬ若い時代を、
本来はなかったはずの「彩り」を添えて振り返りたくなる、
そんな気持ちにさせる、魅力的な少女たちばかりです。
(と書くのは、私が40過ぎているからで、
これからそういう高校生活を送る方にももちろんお勧めします)

鑑賞の際は、テレビで放映された分だけでなく、
服飾デザインに重点が置かれたOVAもお勧めですので、
取りこぼしなく。


・ジャングルはいつもハレのちグゥ
正直申し上げて、上記の2本は比較的最近のものなので、
「もっと盛り上がってもよさそうなのに、誰も見ていないの?」
という実感から感想を書いたのですが、
この作品がリアルに放送中のことはよく知らないので、
ひょっとしたら、人気があったのかもしれませんが、
いずれにしろ、アニメを余り見ない方がご存じないことには
変わりないでしょう。

ハレは、病弱な家出少女ヴェダがジャングルで産み育てた
心優しい少年。
グゥは、ひょんなことから彼と一緒に暮らすことになる、
「第一印象では超美少女の顔」をしている不思議な女の子です。
ジャングルでの生活で、
ヴェダ自身もたくましく成長していくわけですが、
富裕な実家との関係や、ハレの父親のこと、
ハレが10歳ぐらいの頃からあれこれと明らかになり、
「南国少年ナントカくんに似ているなー」という感想は
初めのうちだけ。
この作品にしかないカラフルな楽しさがあふれています。
最近7枚組のボックスも発売されたようですので、
ここで宣伝ともいえぬ宣伝をつけ加えておきます。

ハレの声を担当したのは、
少し前、車のCMで披露した早口も印象に残る愛河里花子さん。
テンポのよいセリフ回しで、気ぃ使い少年を好演しています。
グゥを担当したのは渡辺菜生子さんで、
「ちびまる子ちゃん」のたまちゃん、
「モリゾーとキッコロ」のキッコロなど、
心をくすぐる愛らしい声がすぐ浮かびますが、
本作では、テンションの低いシニカルな声音と話し方が
妙に耳に残ります。


 < 過去  INDEX  未来 >


ユリノキマリ [MAIL] [Saturday's Child] <