2006年02月04日(土) |
DVD鑑賞「プロペラを止めた、僕の声を聞くために。」 |
DVD「プロペラを止めた、僕の声を聞くために。」を 見ました。
千原兄弟(兄・靖史 弟・ジュニアこと浩史)と、 ジャリズムの渡辺鐘さんによる コントの数々です。 レンタルのため、特典映像や副音声の状況はわかりませんが、 単純にネタだけ楽しみました。
ムード 「ムード」という言葉が乱発される、 ただそれだけの、ベースは割とベタなコント。 スピード違反者(靖史)を取り締まる警察官(ジュニア&渡辺)が 制服の下に来ていた、ロココな感じのシャツ(というかブラウス) だけでも結構笑えます。
少年と鹿と鉄骨 収録されている中では、「久保井」と並んでわかりやすい…と思います。 工事現場で、鉄骨の下敷きになりそうになった少年(靖史)、 それを助ける鹿(ジュニア)、 鉄骨を落としてしまって動転し、 飛び下り自殺する現場作業員(渡辺)の運命やいかに?
203号室 ショートコント アパートの天井から垂れてくるものを 金盥で受けてみると…
久保井 あるプロ野球の試合にて。 バッテリーを組む2人(ジュニア&渡辺)が、 元チームメートで相手チームの打者・久保井(靖史)のことを グローブとミットで口許を隠したまま、 10分以上ポロカスにののしる、ただそれだけの話。 言いがかりに近いような悪口も多いけれど、 とりあえず笑っちゃいます。 2人のいらだちと、打者のウザさがよく伝わりました。
ジェンダーとセックスの区別もつかんアホ同士が 男女共同参画社会について云々論争している昨今、 あえて言わせてもらえれば、 「あ〜、あいつ何かムカつく〜」という心理は、 女子の方がよりわかるかもしれないと思いました。 余談ですが、 レンタル店で、カップルが映画を借りようとして、 相手が、自分の見たくない映画に手を伸ばしたとき、 女子が「嫌い」「気が進まない」と言うのに対し、 男子は「おもしろくない(見たか見ていないかは不明)」と その映画却下の理由を述べている気がするのは 偏見でしょうか。 この場合、女子の方が映画とのつき合い方が「正しい」と思うのは、 完全に私情ですけど。
ダンボ君 アンジャッシュの「ピーポ君」「キュータ君」ネタに近い。 ひょっとして、パクリ…?と思えばそうかもしれないけれど、 それでいて、千原ならでは感漂うネタ。
赤いトレーナーに古くさい帽子をかぶった荒木(ジュニア)。 帽子についたポンポンが「ピンポンパン」「ロンパールーム」風 あくまで「往年の子供番組」の態で始まる。 四方の側面にマンガチックな顔を描いた段ボール箱を 頭からかぶり、 レジャーシートを散髪店のケープのように被せられた人物に、 質問したり、話題を振ったりするが、 その回答はすべて、 「どこでもいい」「じわじわ」「したい」 「ある」「あたまがいいな」「やったー」 など、イジりようでどうとでもとれる言葉の中から荒木が選び、 ピストルでボタンを押して再生した録音ばかり。 場所も暗い。どこかの倉庫のようだ。 段ボールの下の顔は一体? そして、倉庫に飛び込んできて、 「こんなことやめましょう」と言う男(靖史)は……。
怖いけど、すぐ終わる。 正直言って、少しも笑えない。 といっても、おもしろくないから笑えないのではなく、 まあ何というか、笑ったら何か起こりそうというか 物すごく禍々しいところが魅力です。 特に意味はないのですが、 夢野久作「ドグラ・マグラ」の 「胎児よ胎児よ何故踊る」を思い出しました。
日本の夜明け ダイレクトに怖さが伝わるのが前述の「ダンボ君」なら、 なんか薄ら寒い怖さがあるのが、このコントでした。
田舎の小さな寄宿学校?が舞台。 家庭的な問題のある子供を受け入れる施設らしい。 先生(ジュニア)が寝ていると、 2人の生徒(渡辺&靖史)が しばしば「日本の夜明けを見つけた」と言いながら、 寝室に乱入し、安眠を妨害する。 1人は木の枝、もう1人は布団たたきを 刀に見立てて腰に差している(帯は縄跳び)。 2人が「日本の夜明け」と表現しているものは、 「掃除機のコードを引っ張りきると現れる赤いテープ」とか、 御飯の保温ジャーから立ちのぼる湯気とか、 わかるような、わからないようなものばかり。
夫の寝室がうるさいので、 目を覚ましたらしい「奥さん先生」の スケスケのネグリジェ姿を見た2人は、 思わず写真を撮ったり、 息子さんがエレクトしたりする。 身長174と181の大男が、子供のように 息子さんがアツくて眠れないと訴える様は、 はっきり言って、キショい。 全体の構成は、映画風…というよりも、 映画のDVD風。 絶対英語圏の人には通じそうにない英語のセリフに 日本語字幕をかぶせたバージョンもちょっと見られます。
DJ内海 ショートコント 靖史さんは本当に上背があってスタイルがいい。
無情の儀 ピンク・黄色・オレンジのドレスを着て、 明るい栗色巻き毛のヅラを被った、 貴族の姫君三姉妹風の面々(長女ジュニア.次女渡辺、三女靖史) 言葉づかいは上品だが、やることはちょいちょい粗野になる。 丘の上の城で暮らしているのだろう。 次女が丘の麓に下りたがるのを、長女と三女が 「そこがいかにおそろしいところか」の例を挙げて制止する。 止めるに当たって挙げられる理由が、 だんだんあるあるネタっぽくなるのは御愛嬌か。
タイトルの「無情の儀」とは、作中で披露される 「だるま・放火魔・ハルシオン」で勝敗を決める ジャンケンのようなもの。 だるまは放火魔に負ける(燃やされる) 放火魔はハルシオンに負ける(眠らされる) ハルシオンはだるまに負ける(眠らせることができない) という三すくみが成立している。
とにかく3人は女装が似合わない。 強いていえば、渡辺さんがちょっとかわいかったくらい。 真正女子でも、明るい栗色巻き毛にお姫様ドレスは、 なかなか似合わないとは思うけど。 殊にジュニアは、うら若き女性のはずなのに、 どこかばあちゃんっぽい。
お母さん ライブのタイトルは、このコント由来と思われる。 ヘリコプターに育てられたために、 やたら大音量の声で話し、 羽根のついたもの(扇風機、換気扇、エアコン室外機)が 大好きな少年「コプタ」(ジュニア)。 クラスに仲良しが2人(「べっちょん」(渡辺)と 「たっちん」(靖史)がいて、 一緒に遊んだり、変な言葉を3人の間だけで流行らせたりしている。 授業参観日に張り切って作文を読むコプタのもとに、 思わぬ来訪者が…
シュールな設定ではあるけれど、 実はしんみりとした、何だか「いい」お話です。 「自分の少年時代を思い出した」などと感想を言って、 「ヘリに育てられた友達いたのかよっ」と突っ込まれてしまうような 気のいいおっちょこちょいおじさんなら、涙するかも。
ところで、渡辺さん演じる「べっちょん」は、 アベという姓からとったあだ名のようですが、 我が郡山地域では、ちょっと発音しにくい言葉です。 意味のわからない方は、「べっちょん」から「ん」を抜いた言葉と、 さらに「郡山」もしくは「福島」を併せて検索すれば、 わかるかと思います。
ことし1月14日のこちらの日記に、 千原兄弟はネタをもっと見たら、 きっともっと好きになるという確信があると書きました。 果たして……そのとおりではあったのですが、 自分の腹黒さ、性悪さとも対峙せざるを得ない、 そんな気持ちになりました。
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