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■ とどまる
=とどまる=
暑い日中を越してやってきた涼しい夜道を一人で帰るとき、遠回りして長く長く歩いて帰りたくなるときがある。帰るべき家に帰りつきたくなくて、どうにか長くこの心地よい気分を長引かせようと思う。静かな道は自然と何かを思い浮かべながら進んでいく。それは心地よい妄想であって、現実から隔てられた楽園だ。街灯がゆっくりと光っていて、ときに瞬く。蛾が螺旋運動を繰り返して、昇っては降っていく。次第に何を見つめているのか分からなくなってくる。いつの間にか、家は目の前にある。
=みず色=
空気中の水分が目に見えるくらいの雨の日。薄い青色が浮かび漂っている。吸い込んだ粒は胸の中で溶けていった。風が強いから窓から雨が入ってくるんだ。
=桜色=
かけていた目覚ましは鳴らなくて、ふと目を覚ましたら、カーテンの隙間から薄いオレンジの光が射し込んでいた。眠たかったはずなのにどうしても、カラリと開けた空を見たくて布団をはねのけ、カーテンと窓を開け開く。温かくなりきれていない空気と、温かい光が入ってきた。すこしだけ、花の匂い。ジーパンにトレーナーを着て外に出た。花の匂いが強く香ったから、柄にもなく散歩に出かけてしまう。桜色の並木道。
2004年05月17日(月)
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