カエルと、ナマコと、水銀と
n.446



 湿った匂い

=湿った匂い=

湿った光がタイルで舗装された歩道に沿って並んでいる。自転車のタイヤはほぼ摩擦がないように進んでいて、冷えた夜の風は火照ったエンジンを冷やすように身体の熱を奪い去っていく。心地よい涼しさは、懐かしい匂いを思い出させる。夏の、夜の、森の、匂いだ。キャンプ場の朝にかぐ、あの匂い。確実に季節は夏へと向かっている。もうすぐ、梅雨なのかも知れない。


=ドコ?=

うらぶれた風にさまよっている。荒野の果ての寂れた酒場。ガス灯が瞬いて消える。多くの水分を欲している空気。風は乾燥した草や何かのゴミをころころ転がしていく。ドコニイクデモナク。



2004年05月15日(土)
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