カエルと、ナマコと、水銀と
n.446



 上昇気流

=上昇気流=

山肌を駆け上る上昇気流に飛ばされて、トンビと同じくらい高いところまでやっていたら、何もかもが小さくなって、下の方で口を開けたままこっちを観てる友達も、あの海に浮かぶ小さな船も、何もかもが小さくなって、自分の悩みなんて消えてしまった。

=赤い張りつめた風船=

彼女が別れを告げたとき、頭の中で何かがかちかち鳴って、俺は夜の公園の混沌とした暗闇に投げ出され、闇に潜む未知の動物や、首筋を狙うコウモリの幻影に怖れ、その暗闇から抜け出そうという気力が抜け出てしまった。それはまるで張りつめた赤い風船が萎んでしまったような感じ。

=包装紙の中の犬=
もっとも僕は、映画のように「君にプレゼントだよ」「それは何?」「君が欲しがってたものさ」といって、その犬を渡したわけではないわけで、当たり前だけど、彼女とその家族に犬が飼えることを確認し、クリスマスの盛り上がりを見せるデパートにどの子犬がいいか見に行ったのだ。

2002年07月30日(火)
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