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週末の電車は、行楽地へ向かうカップルや家族連れで満員。ドアにもたれていた私の隣には、Tシャツに短パンというラフな格好のお父さんと、それプラスキャップ&リュック姿の幼稚園生くらいの男の子が並んで立っていました。 ふたりが乗り込んできてから3駅ほど過ぎた頃、男の子がお父さんに「この電車、どこまで乗るの?」と訊きました。「終点まで」と答えたお父さんに、男の子は黙って頷きました。 それからしばらくの間、男の子はお父さんの脚に絡んだりしておとなしく遊んでいたのですが、ふとお父さんが男の子に「もしかしてトイレに行きたいのか?」と訊いたのです。「ええっ、いきなりなんで?」と驚く私の隣で、男の子は「終点まで大丈夫」とけなげに答え、またお父さんの脚に甘え始めました。どうやら子供なりに状況を判断して遠慮しているらしいことが、赤の他人の私にも見て取れました。 ところがそれを聞いたお父さんは、「電車なんて、次から次からいくらでも来るんだ。次で降りよう」と言って、男の子の背中に手を当てて窓の方へ向かせたのです。 …ホレました、お父さんに(笑)。
似たような場面は、これまでにも何度か見かけたことがあります。突然電車の中でトイレに行きたいと言い出した子供にお母さんが、「だからさっき乗る前に、本当に行きたくないかどうか何回も訊いたでしょ? 何でそのときに言わないのよ!」と叱るパターンです。 そういう場面に遭遇するたび、そんな小さい子供に数分後の自分の状況を想像しろだなんてムチャな話なのでは…と胸が痛みました。忙しいお母さんの事情も、もちろんわからなくはないのですが、どんな状況であれ子供にとって大好きな親から投げつけられたキツイ言葉というのは、たぶん親が想像するよりもずっと強く響くはずなので。 |
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