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『男は敵、女はもっと敵』 山本幸久 (マガジンハウス) - 2006年09月08日(金)


山本 幸久 / マガジンハウス(2006/02/23)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:


<作者にとっては新境地開拓の作品なのであろうが・・・>

マガジンハウスの月刊文芸雑誌“ウフ”に連載していたものをベースに単行本化した連作短編集。
正直言って、傑作と言って良いであろう『凸凹デイズ』を読んだあとすぐに手にしたので読み終えるのが辛かったのは事実。

こういった少し男女間のドロドロな部分をコメディタッチ兼ユーモラスに書けるのは吉田修一さんか平安寿子さんに任せておいたほうがよかったかもしれないなと思う。
山本さんが描くと吉田さんほどサラッとお洒落に書けないし、平さんほど毒がない。
平凡な作品に終始してしまう。
他作と比べるとどうしても全体的なまとまりにも欠け、読後感もすっきりしないのである。

物語は36歳でフリーの映画宣伝ウーマンである高坂藍子が主人公。
藍子は美人ながら離婚して半年で、現在オトコはいない。
彼女を中心にいわば彼女の影響で人生を翻弄される男たちと、さらにその男たちの妻や恋人たちの実態を描いている。

出版社のイメージからして私が想像するに、作者は藍子をカッコいい女性として描きたかったのであろうが、少し不完全燃焼のような気がする。
私はどうしても藍子自身に不幸感を見出さずにいられなかったのである。
少し否定的に書いたが、キラリと光る部分もある。
終盤に不倫相手だった西村の息子の良太が藍子に会いに来るシーン。
これはちょっとドキドキそしてかなりジーンと来ましたね。
西村のだらしなさを少し嘆きつつも、良太君にエールを贈らずにはいられなかったのである。

ここからは少し飛躍した意見かもしれませんがご容赦を・・・
タイトルの『男は敵、女はもっと敵』を私は『男の敵、女のもっと敵』と読み替えています(笑)
そう、主人公藍子のことですね。
意外と上手くまとまるような気がしませんか?

少し手厳しい感想となりましたが、これは山本さんへの大きな期待の表れであるとご理解願いたいですね。

期待はずれ(5)

この作品は私が主催している第5回新刊グランプリ!にエントリーしております。
本作を読まれた方、是非お気軽にご投票いただけたら嬉しく思います。
(投票期間2006年9月15日迄)




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