『眠れぬ真珠』 石田衣良 (新潮社) - 2006年07月13日(木) <現実を知らしめながらも夢を与えてくれる恋愛小説。大人の女性に是非読んで欲しい。> 主人公の内田咲世子は45歳の版画家。過去に結婚に一度失敗しており現在は独身。 同年代の卓治(妻帯者)という画商とたまに体をまじえる日々を過ごしていた。 そんな咲世子が17歳年下のウェイターで映像作家の卵である徳永素樹 と“運命の恋”に落ちるのである。 是非30歳以上の女性に読んでもらいたい作品である。 主人公は人生の半ばを過ぎ、更年期障害によるホットフラッシュに悩みつつも恋する気持ちを押さえつける事が出来ない。 いや、女性としての生殖機能が終わろうとしている時期にさしかかっているから余計に素樹の存在に救われるのである。 そりゃ主人公の立場になれば、売り出し中の女優で若い椎野ノアより自分に魅力を感じている素樹の気持ちが信じられないはずである。 でも、嬉しいものなんですよね、きっと・・・ 少し不満点はやはり前半の性描写の濃密さですね。 これは限度を超えていたような気がします。 男性作家だから余計にマイナスですよね。 逆に素晴らしいのは、途中ストーカー亜由美が登場してかなりドロドロな展開になりますが、巧みに抑制できている点。 これには驚かされました。すごくメリハリがついてて良かったと思う。 それにしても亜由美の生い立ちの話は壮絶でしたね。 女性と言うのは“感覚”で生きている部分が強いと思う。 本作においても“ダイヤモンドの女”の象徴・ノアよりも“パールの女”の象徴・咲世子の良さがわかる素樹の素朴でひたむきなナイスガイぶりが印象的である。 女性読者なら主人公が素樹の手にうっとりして恋に落ちたシチュエーションがよくわかるはずである。 全体を通して、咲世子の相手のことを考えつつも、いつまでも女でありつづけたい気持ちが凄く滲み出ていました。 結論を言えば、お互いに支えあっていれば年齢は関係ないのであろう。 少し現実的ではないような気もするが、アーティストだから不自然ではない。 なぜならお互いの芸術性や仕事に対する意欲が高まっているから。 ノアから“期間限定の恋人”として提案して受け入れていた主人公の咲世子、はたしてラストはどうなるのだろうか。 石田さんの見事な“恋愛講座”のエンディングを胸を躍らせながら確かめて欲しい。 女性読者の大半が素敵な恋を始めたいと思われるであろうと信じている。 面白い(8) この作品は私が主催している第5回新刊グランプリ!にエントリーしております。 本作を読まれた方、是非お気軽にご投票いただけたら嬉しく思います。(投票期間2006年8月31日迄) ...
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