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『クレイジーヘヴン』 垣根涼介 (実業之日本社) - 2004年12月13日(月)

クレイジーヘヴン
垣根涼介著出版社 実業之日本社発売日 2004.12価格  ¥ 1,680(¥ 1,600)ISBN  4408534668
27歳のサラリーマンがひょんなことで中年ヤクザを殺害。彼の住む世界の歯車は狂い始め…。虚無と絶望が交差する日常から、人はいかに自己を解放できるか。新感覚アナーキークライム・フィクション。 [bk1の内容紹介]
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展開もスピーディで文章も読みやすいのにもかかわらず、読後残念な気がするのは何故だろう?

前作『サウダージ』から少しづつその兆候が現れて来てたのだが、あまりにも薄っぺらい内容が目につくのである。
ただ、『サウダージ』の場合は登場人物の“DD”の影響も多分にあったであろうから許容範囲だったのであるが、本作はやけに“性描写”が強すぎて読後の爽快感が薄れてきているのである。
残念ながら、垣根氏が物語にどういう結末を描こうが、私自身はあんまり物語に入り込めなかったのが正直な感想である。

読み終えてふと疑問を感じた点を書きたく思う。
垣根氏は本当にファンが彼に望んでいるものを理解しているのであろうか?

主人公は27歳のサラリーマンである点からして確かに読者との距離は近くなったのかもしれない。
テーマ自体はきっちりと提供してくれている。
“本当の自分を見出し、一歩抜け出すためにはどうしたらいいのか?”
おそらくこんなところであろうと推測できる。
しかしながら“内容がテーマに追いついていない”ような気がするのである。

少なくとも傑作『ワイルドソウル』に見られる重厚感や登場人物の魅力は半減された。
本作における恭一圭子、『ワイルドソウル』のケイ恵子のようにいつまでも読者の脳裡に焼きついて離れないほどインパクトは感じられない。

売れっ子になればスケジュールもきつくなると思うが、大作をじっくりと取り組んで私たちのファンの前に披露してほしいというのが本音である。

ファンはもう少し夢のある話を期待している。
どちらかと言えば軟派な傾向に走りがちであるのが残念だ。

私のレビューが他の垣根作品と比して短い点がこの作品の評価を物語っている・・・
次作期待。

評価6点

2004年111冊目


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