『太陽と毒ぐも』 角田光代 (マガジンハウス) - 2004年10月14日(木)
11編からなる短編集であるがほとんどが同棲している男女のちょっとした性癖によるすれ違いを描いている。 登場人物はいずれも30歳前後。いずれも約20ページでカップルのどちらかが欠点や変な性癖を持つために相手がイライラする。 例えば1週間に2度ぐらいしか風呂に入らなくて平気な彼女、通販買い物マニアの彼、万引き癖が直らない彼女など。 タイトル名ほど毒は強くない。 角田さんの文章って山本文緒さんよりも甘いが江國香織さんよりもずっと辛い。 ただ決して角田さんは小説にて夢を見させてくれない。 山本文緒さんほど辛辣さはないが冷めたというか冷静な部分は角田さんの方が上であろう。 どちらかと言えば平凡で等身大であるために読者にとってはより現実的なものである。 少し詰めの甘い部分も見られるような気もするが、内容的には身に覚えのある方も多いんじゃないかな。 登場人物の年代も影響してるのでしょうが、日常的な現実を描くと言う点では秀でているような気がする。 ドロドロ感がないのがいいのかもしれません。 年代・性別によって感じ方は違うと思いますが、私的には本作に登場する人達の年代の恋愛ってきっと、まず“自分を大切にすることから相手を思いやる気持ちが生ずるのだろう”と思います。 実は私も少し心当たりがあります。 積読本が多いのにすぐ本屋で買ってしまうのです。 通販買い物マニアの彼の編(お買い物)なんかはドキッとさせられました。 でも同棲してないからいいかな(笑) 現在恋愛中(特に同棲中)の方が読まれたら、恋愛における“生きた良い教科書になり得る”ことには間違いない。 少なくとも自分を見つめなおす恰好の1冊となると確信しています。 評価7点 2004年93冊目 ...
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