『海の仙人』 絲山秋子 (新潮社) - 2004年09月30日(木)
絲山さんの作品は『イッツ・オンリー・トーク』に続き2作目であるが本作も芥川賞の候補作となった話題作である。 いきなり“ファンタジー”という名の正体不明の謎の人物(?)が登場して驚いたのであるが、少し展開的にどうかなと言う気がした。 唐突な感は否めないかな。 あいかわらず登場人物が個性的でユニークなんであるが、主人公の河野に引きつけられる魅力がなかったような気がする。 作者はきっと彼にまとわりつく孤独感・閉塞感を描きたかったのであろうが正直拍子抜けした。 彼に惚れる二人の女性(かりんと片桐)の気持ちが理解できないのである。 だから後半の展開はページをめくりつつも感情移入が追いついていない読書になってしまった。消化不良ですね。 もちろん河野の過去(姉とのトラウマ)によって恋人とセックス出来なくなったと言う点が一番彼の人生に影響を及ぼしたのはわかるのであるが、やはり魅力に乏しい為に感情移入しにくかったな。残念! 純文学って本当にむずかしい。 なぜなら、一歩間違うと切ない話も陳腐な話に変わってしまうからだ。 ひとつの結論を導き出した作品といえそうです。 まだまだ読み込み不足だな(苦笑) 評価6点 2004年87冊目 ...
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