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『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ 原書房 - 2004年06月13日(日)

《bk1へ》
原書房のミステリーリーグシリーズはどちらかと言えば私にミスマッチなシリーズなんだが、本作は他作に比べては読みやすかったような気がする。
予想通りいろんな論議を醸し出しそうな作品である。
巷でのレビュー等などを見てもいろんな見方があるものだなあと思ったりする。

作者の乾くるみさんはどうやら男性らしい。
女性だと思って読まれた方は性描写のきついシーンに驚愕された方もいらっしゃるかな。

本作は“メフィスト賞作家”らしく見事なトリックが仕掛けられている。
推理小説ファンの方は、2度読んでその伏線を楽しまれるのもいいかもしれない。

結論的にはトリック的には“掟破り”じゃなく“許容範囲内”じゃないかな。
見抜けた人には拍手を送りたい(笑)
私的にはマユが別人かなあとずっと予想してました。

私が特に強調したいのは本作の読みどころは“トリックよりも恋愛小説を堪能出来る”点である。

恋愛“現在進行中”の方はもちろん、引退された方(結婚してるっていう意味です)はなおさら、ありし日の自分をオーバーラップさせれるんじゃないかな。
作中の「男女七人夏物語」や「〜秋物語」、お若い方は“知らないなあ!”のひと言で片付けれるかもしれないが、きっととっても想い入れの強い作品であるということをわかってる方も多いと思う。
いや、わかってる方を対象として書かれた作品のような気がする。

私的には“女性の怖さ”と“恋愛の楽しさ”をリメンバーさせてくれた点では一読の価値があったなあと思ったりする。
きっと男性が読めば前者に対して同感だと思うし、女性が読めば“女ってそんなものよ”と思われる方が多いかもね。

でも少しでも切なさを味わえた方は収穫があったと満足すべきじゃないかな。

いろんな見方があるから読書も恋愛も楽しめるのでしょうね、きっと・・・
評価7点。    
2004年56冊目 (新作41冊目)




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