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『さよならの代わりに』 貫井徳郎 幻冬舎 - 2004年05月16日(日)

《bk1へ》
貫井さんの作品は著作の半分位しか読んでないが、本作を読んで明らかに作風が変わったなあと感じられた方も多いんじゃないかなと思う。

帯に女優の長谷川京子さんを起用。かなりインパクトが強い。
あと、表紙も“東京ドームシティ”をフィーチャーしている。
これは作品の中で主人公の和希祐里がデートする思い出の場所となっている。
最後にタイトル名の“さよならの代わりに”というネーミング。
これも恋愛小説を強く意識していると言えよう。

もちろん作中には誰が犯人であるか(一応殺人が起こります)や、トリックなども読んでいて多少の興味は引くのであるがそちらに主眼を置いて読まれた方は肩透かしを食らうことであると思う。

なるほど、文章は読みやすい。
主人公の目線も低くって(多少イライラするが)感情移入もしやすいのが特徴である。

あくまでも今までの重厚な文章を得意としていた著者が、新たなターゲット(読者ですね)を得る為に書かれた意欲作だと言えるのであるが、SF的設定の部分がわかり辛かったのは残念なところである。

しかしながら、現状での貫井さんの隠れていた才能は発揮できているような気がする。
“ミステリー作家”から“エンターテイメント作家”への脱皮を図った著者の創作活動において必ずやターニングポイントとなる作品であると言えよう。

爽やかな読後感が心地よい作品である点は強調しておきたい。

評価7点。    
2004年47冊目 (新作33冊目)


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