![]() |
『もっと、わたしを』 平安寿子 幻冬舎 - 2004年05月14日(金)
平さんの作品って本当に文章が溌剌としていて読みやすいのが特徴である。 本作は5編からなる連作短編集であるがどの編も不器用な生き方しか出来ない男女が登場する。 どの主人公も“憎めない”のはきっと平さんの人望なのであろう。 まず、冒頭の彼女にトイレに閉じ込められる真佐彦クンが面白い。 “こんな奴っているよなあ”って思われて読まれた方も多いはず。 そのあともいろんな自分自身に自信がありそうで持ててない男女が登場する。 やはり最も印象的なのは歯医者で受付をしている絵真であろう。 美貌が売り物なんだが過去の失恋がトラウマとなっているために、周りからは自意識過剰に捉えられているが実はそうじゃない。 本作において“悩んでいるのはあなただけじゃない!”と平さんは読者に強く投げかけている。 読後、視野が広まったような気がする。 それだけ登場人物に自分自身を投影出来た証拠であろうか・・・ なんとなく、他人を側面からしか見てなかった点が矯正された感じがするから不思議なものだ。 それだけパワーのある小説ってことだろう。 本作は読者にエネルギーを分け与えてくれる作品である事は間違いない。 一気に読めるので是非未読の方は手にとって欲しいなと思う。 評価8点。 2004年46冊目 (新作32冊目) ...
|
![]() |
![]() |