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『家守』 歌野晶午 カッパノベルズ - 2004年04月21日(水) 《bk1へ》 家をモチーフとした5編からなる短編集である。 それぞれに歌野さんらしいひねりとトリックがあって読者を翻弄してくれる点は嬉しい限りである。 一字一字心して伏線を読まないとあとでわかりにくくなってしまいます。 1番楽しめたのは「埴生の宿」である。 高額で不思議なアルバイトに興味を持つフリーターの男の物語なんだが、家というか“家族の絆”を巧く描けてるなと感じた。 もちろんトリックも凄いです。 あと印象的なのは「鄙」。犯人はわかりやすく(笑)、トリックも他作よりありきたりかもしれないがモチーフが印象的だ。 “共同体としての家”をクローズアップ。現実的にはありえない話なんだが日本古来の封建的なものを織り交ぜている点は印象に残った。 全体的には地味な感は否めず『葉桜の季節に君を想うということ』のようにインパクトの強い作品ではないが、従来の歌野さんの作品を楽しまれてきた読者にとっては十分に満足できるクオリティの高い作品集と言えそうです。 個人的にはいい“頭の体操”となった作品だと言えそうですね。 評価7点。 2004年39冊目 (旧作・再読作品11冊目) ...
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