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『二度目のノーサイド』 堂場瞬一 小学館 - 2004年03月26日(金)

《bk1へ》

5年前に会社の業績不振で廃部となった武蔵野電産ラグビー部。
最後の試合の納得の行かない「最後の10分間」のために不可解な結果(引き分け→抽選で負け)を引きずった部員たちは五年ぶりに決着(再戦)をつけようとするのであるが・・・

この小説は単なるスポーツ小説ではない。
(中年に差しかかる)男たちの再生と熱き友情の物語である。
いつまでも夢を持ち続けることのむずかしさと素晴らしさを教えてくれる。

各章において主人公桐生が試合に出てくれるように連絡を取っていくシーンが中心であるが、やはりそれぞれの思い入れや人生って5年間で変わるものですね。
個性的な脇を固める人物(島、村瀬、松田、木塚など)の人物造型の確かさが読者にとっては印象に残ること間違いなし。
各人の性格とポジションを的確に各章のタイトルにしているところも興味深い。
思わず、自分の友達に当てはめて読まれた方や過去の友人を思い出した方も多いと思われます。

堂場さんは初読みですが、徹底した取材振りに基づく熱き男たちの物語はなかなかのもの。
展開的にはありきたり感も否めないが、なによりもまっすぐで読後感が爽快なところがいい。
個人的には地味ですがなかなか良い作品だと推したく思う。
女性が読まれても、夫婦愛も描かれてるので(サイドストーリー的だが)受け入れやすいと思いますね。
きっと、読後表紙の“男の背中”が大きく素敵に見えるでしょう(笑)


少し余談ですが、“果たして、自分はラグビーにおいてどのポジションに適してるのだろう?”
そう思われた方も多いかもしれませんね。
ラグビーボールのバウンドのようじゃなくって、少し自分自身をコントロールし見つめなおせるいいきっかけとなったような気がする。

この作家、安心して読めそうな筆致なので他の作品も読み進めて行きたいと思う。

評価8点。    
2004年31冊目 (新作23冊目)


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