『笑う招き猫』 山本幸久 集英社 - 2004年03月10日(水) 《bk1へ》 “人生において夢を持つこと”はとっても貴重なことである。 この作品を読めばそれが実感できる。 第16回小説すばる新人賞受賞作。 とってもテンポが良く爽快な小説。 すべてにおいて目新しさが目立つ作品である。 特に、“女性の友情”を取り上げてる点が印象的だ。 内容的には駆け出しの漫才コンビの成長物語だ。 ヒトミとアカコはともに28才。ツッコミのヒトミは身長180センチでボケのアカコは150センチ満たない。 現実は厳しいんだけど(ギャラは2人で2000円)悪戦苦闘して生きている2人に拍手を送りながらページをめくれる点は読書の醍醐味を味わえる。 一応、サクセスストーリーになるのだろうけど、“初心を忘れないで葛藤するシーン”がとっても印象的だ。 主役の2人以外の登場人物の個性際立った演出も見事である。 まさに“つわもの”たちのオンパレードって感じ。 作中の2人の掛け合いや即興で作る唄が本作品をより読みやすく楽しいものにしてる点も素晴らしい。 ただ、漫才シーンはあんまり面白くなかったかな(笑) 最後に2人が喧嘩をしたり、マネージャー(というかユキユメノ)問題が急展開となったりと読ませどころを押さえている点はやはり新人離れしてるのでしょう。 あと、タイトル名ともなっている“招き猫”は結構奥深い意味がある点も見逃せないかな。 少し落ち込んだ時や友達(特に同性)と喧嘩をした時なんかに読めばいい“処方箋”となる作品だと思います。 2人の“熱き友情”に嫉妬された読者はまさに山本さんから大きなメッセージを受け取ったことでしょう。 評価8点。 2004年26冊目 (新作19冊目) ...
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