コラム 出版不況と読書のあり方 - 2003年12月06日(土) 前回に引き続き“出版不況と読書のあり方”という題材を取り上げたいと思います。 野球を例として取り上げたら、例えば阪神タイガース、ファンのほとんどがテレビで見て甲子園に行かなくなった状況を考えてください。 横浜スタジアムや神宮球場で阪神ファンの方が多くても経済的収入には全く関係ありません。 パリーグの球団が1リーグ性を標榜してるのも巨人や阪神という人気球団と対戦して入場料収入を上げようとしている以外には考えられません。 あとFA宣言して移籍する選手。 それだけ、“背に腹は変えられない”ということなんでしょうね。 作家の方も同様でいくら評判よかろうが、大多数の方が図書館で借りられたらかなり逼迫して来ますよね。 そこで面白い例えというか自分への戒めでもありますが、“携帯電話代を1500円節約して本を月に1冊余分に買おう”というのも面白いかもね(笑) きっとあなたの好きな作家さんも喜びはりますよ(笑) 上記の野球選手の華やかな一面、凄い厳しい実態が毎年自由契約になる選手です。 当たり前なんですが、新人選手が入ってくる人数分だけ自由契約(クビ)になる選手が発生します。 TBS系のドキュメンタリー番組『ZONE』で取り上げられていたのを見たのですが、本当に“生存競争”の激しい世界だと思います。 作家についてもよく似た傾向だと思います。 というのは消費者(読者ですね)の消費出来る分量っていうか冊数ってせいぜい年間100〜200冊ぐらいでしょう。 とりわけ、フィクション作品はランキングを見ても苦しくなってるのが実態だと思います。 読者人口というか、パイは決ってるという事ですよね。 その中でいかに新刊を売っていかなければならないかということです。 マイナーな作家にとって、大手出版社から本を刊行することは至難の技だと言えるでしょう。 読者にとっても“今まではAという作家の本は必ず出版される都度読んでたが、Cという新人作家が面白いので優先順位を変えよう”ということが多々あるような気がします。 よくベテラン作家が、時代小説を書き始めるのはやはり“若者の活字離れと若手作家の台頭”を懸念してだと思います。 出版社の苦しみが如実に現れてると思える現象が、最近、賛否両論あると思いますが、文庫化のサイクルがとっても早くなっている点だと思います。 特に映画化やドラマ化の際に顕著に現れてます。 それ以外にも特定の出版社が意図的に全体的に早くしてる点も見逃せません。 不況のあおりで、今までは文庫派だった方が図書館派に移項されてる場合が多くなってる点も原因のひとつにあげられるでしょうね。 あるいはブック○フを中心とした古本市場の充実も脅威的だと思います。 逆に考えれば、文庫化されても売れない作品は絶版になるサイクルも早くなって行くだろうと容易に想像出来ます。 あと、世間一般的にマイナーな文庫で出たものがメジャーな文庫で出るケースも非常に多くなってるような気がします。 小さな書店ではメジャーな文庫しか置いてませんものね。 これも弱肉強食的なものの一貫だと思っています。 そこで少し読書について考えたく思います。 趣味として考えた場合、いちばん手っ取り早くて身近な趣味だと思います。 通勤電車や待ち時間、風呂の中、あるいは寝る前・・・ どんな姿勢でも読めますよね(苦笑) 私はHPを趣味で行ってますが、いわば“読書”が第1の趣味で“HPの作成&公開”は2番目の趣味と言えるべきものなので2年あまり続けて来れたのだと思ってます。 “共通の趣味を持つ事によって全国の方と本音で語り合える”って本当に有意義な事だと思います。 実際、情報をすぐに入手出来るネットによって自分の読書ジャンルが大幅に変わりました。 年齢を重ねるにつれ、そのとき読んで楽しいミステリー調のものから、グッとくる感動話や身につまされる話、どちらかと言えば社会勉強となりえそうな話、あるいは歴史・時代小説の方に重点を置くようになりました。 最近、『クライマーズ・ハイ』に関しての否定的意見を掲示板に書きこみしていただきました。 読書の受け取り方は本当に十人十色でいいと思います。 “たかが小説、されど小説!”って感じかな。 例えば、事故が群馬県側か長野県側かで一喜一憂するシーンがあります。 これも事故に遭った方の身内が読んだら、激怒することかもしれません。 嬉しかったのは、内容に関する意見(是非)じゃなくって、男の生き方(というか仕事に対する姿勢)に対する意見だったことです。 この点に関しては読まれる方の性別や年齢あるいは職業によって様々な捉え方が出来ると思いますのでここでは論じないでおきますね(笑) それだけ影響力のあるリアルな小説であったという証にもなってるかなあと思います。 個人的なひとつの結論として、少なくとも自分のこづかいの範囲内で買えて、家でじっくり『クライマーズ・ハイ』を堪能出来る幸せを噛み締めれる自分を幸せだと思いたいということです。 関連リンクコラム 出版不況と図書館 次回は作家とその収入について書きたいと思ってます。 ...
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