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『三都物語』 船戸与一 新潮社 - 2003年12月05日(金)

横浜・台中(台湾)・光州(韓国)の三都市を舞台としたプロ野球界の裏側を描く連作短編集です。
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登場人物もそれぞれ有機的に繋がっていて、興味深く読めます。
プロ野球に関して基本的な知識(ドラフト制度やFA制度、あるいはポスティング制度など)がなければ理解し辛いかもしれませんが、船戸さんの豊かな人生経験と確かな洞察力に基づいたハードボイルドな文体は息をもつかせぬ展開となって読者を魅了します。

全5編中、3編目のベテランスカウトマンを描いた「落ちた柿の実」がもっともリアルで味わい深かったかな。

球団名や選手名は実名じゃないが、実在する選手に当てはめて読めるという点に、作者の確かな筆捌きを感じました。

華やかな世界の舞台裏を垣間見させてくれますが、あまり知りすぎてもゾッとしちゃうものですよね。
少し不満点は、やはりここまで政治や暗黒社会とスポーツを絡ませて欲しくなかったような気もしますが・・・

ただ、男の生き様として考えたら共感出来る点は多かったと作品だと言えそうです。
異国で働くことの凄まじさを深く学びとれました。
三つの国の民族性と言うか国民性も露わに描写されてる点も嬉しい限りであった。

でも現実は厳しくてほろずっぱいのかもしれないけど、夢とロマンを持ち続けることの大切さを教えてくれた1冊だと思っております。

評価8点。


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