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『4TEEN』 石田衣良 新潮社 - 2003年10月02日(木)

最新作『LAST』に引き続き直木賞受賞作を読んでみた。
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『LAST』とは一転してこの作品には瑞々しいという言葉が最もよく似合う。
内容はともあれ14歳と言う設定がピッタシだ。
本当に“好奇心のかたまり”の象徴の年代として読者に訴えかけてくるのである。

どちらかと言えば学生・独身向けの作品だと思う。
独身向けと言うか、若い方が読まれたほうが感動度はより深いと言った方が適切かな。
若い方が読めば登場人物の4人(テツロー、ナオト、ダイ、ジュン)を自分の周りの身近な人間に置きかえれるだろう。

既婚者が読めば自分の過去を懐かしく思うだけでなく読み手によっては自分の子供の事を心配するかもしれないなとちょっと懸念した。
あと、時代変化にちょっと苦しむかもしれませんね。

でも、いろんなことを考慮しても石田さんのいいところが凝縮された作品であることは間違いない。

4人の仲間たちの悪銭苦闘振りの毎日が描かれてるが、誰もが体験した友情の素晴らしさを思い起こさせてくれる。
もっとも平凡なテツローを主人公に持ってきたのが本作の成功の一番の要因だと思う。
いわば読み手の視線によって物語を進行できるのは読者にとって本当にありがたい。
そこが石田作品の特徴である“読者との距離感の近さ”だと思う。
たとえ悲しい話でも4人が集まれば前向きな明るい話に変わって行く過程が素晴らしい。

人生ってやり直せないからいいのでしょうね。
でもやり直せたらと強い気持ちになった1冊です。

胸をしめつけられつつも、読後前向きな気持ちになるのは確かだと思う。
4人が体験したひとつひとつのエピソード、若いがゆえに貴重な財産となったことでしょう。
それが若さの特権と言うものだと思う。

一読者として、少しでも若かりし頃の純真無垢なひたむきな気持ちを思い起こすことが出来た喜びを噛みしめたいと思う。

ちょっと余談ですが、直木賞を取ったことに関する是非についてはこの場では語らないでおきたい。
この作品が素晴らしい作品であることには異論はありませんので・・・

評価8点。


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