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『LAST』 石田衣良 講談社 - 2003年09月30日(火)

本作は直木賞受賞第一作として上梓された“人生の崖っぷちにたたされた人”を描いた短篇集である。
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石田さんの魅力ってなんだろう?
私は“読者との距離感の近さ”“斬新な題材”だと思ってます。
あと“テンポの良い会話”もあるかな?

本作品集は上記の魅力が十分に生かされてないような気がする。
それぞれかなり追い込まれた人が出てくるが、やはり不況の時代を反映した作品となってるのが少し残念ですね。
読者は借金まみれで追い込まれてる人が主人公の話を石田さんに期待してるだろうか?
多少泥臭さがあってももうちょっとカッコよく生きてる人を書いて欲しいなあって思われる方も多いと思います。
特に女性読者の感想を聞いてみたいような気がしますね(笑)

短篇集としてのテーマとして中途半端な印象は否めないし連作短篇集として出したのがマイナスのような気がする。

確かに巧く書けてる作品もある。
たとえば「ラストジョブ」「ラストコール」「ラストバトル」
なかなか共感も出来るしアイデアも卓越している。
やはり良い作品は感動的であるか、あるいは前向きな終り方をしている。
でも7編中、半分位は本当に平凡な作品のような気がしてならない。
ファンの方には申し訳ないのですが、私は本作を石田さんが直木賞を受賞されたので買いました。
でもこの程度の作品集で“直木賞作家”と呼べるのなら、何回も落選してる方には申し訳ないような気もするんですね。
実際、直木賞受賞ってセールスにかなり影響されると思います。
クオリティの高い作品を期待されるだけに石田さんもこれからが本当の“正念場”と言えそうですね。
石田さんは帯で“ぼくの別な顔に、震えてください。”って書かれてますが、私はいささか“ガッカリした”のが本音です。

きっと読む順序を間違えたのかもしれません。『4TEEN』(まだ未読)を読んだあとに読むべき作品だったような気がしますが続けて読んでみますね。

評価6点。



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