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『ZOO』 乙一 集英社 - 2003年06月29日(日)

10篇からなる短篇集です。ジャンル的にはちょっとSFがかったホラー短篇集に分類できるのでしょうかね。
なんといっても「SEVEN ROOMS」が秀逸。
これ1作読めただけでも良かったと言う人もいらっしゃると思いますが、そのへんの評価の分かれ目が乙一ファン度のバロメーターともいえるでしょうね。

1作だけ飛びぬけたインパクトのある作品のような気がするので冒頭に持って来なかったのは正解とも言えそうです。
ほかもちょっと滑稽だけどホラー色の強い乙一ワールドが満開。
多少好みの問題もあるけど安定して読める作品集といえるかな。
個人的には他に「カザリとヨーコ」と「落ちる飛行機の中で」がよかった。
前者は従来の乙一さんのよさが出てて、また後者は逆に今までにない感じの作品だと言えそうです。

ただ、『きみにしか聞こえない』に代表される初期の切ないセンチメンタルな作品を求めてる読者はあんまり満足できないかも知れません。
書かれた年月日もかなり長期間(1998〜2002年)に渡っているので寄せ集め的な感も否めず、作品集としてのコンセプト的には弱いような気もしますが、現時点での集大成的作品集として受け止めれる方はいろんな乙一ワールドが楽しめるのでいいかもしれません。

個人的には切ない作品を求めたいので、いささかガッカリしたのも事実です。
あと、いつもの楽しみの作者による“あとがき”がないのがとっても残念だったことも付け加えておきたく思う。

評価の高い作家だけに“面白かって当然!”というプレッシャーに打ち勝てるかが今後の焦点となってきそうです。

評価7点。


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