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『橋ものがたり』 藤沢周平 新潮文庫 - 2003年05月17日(土)

時代小説の大御所、藤沢周平さん。初挑戦しました。
橋にまつわる10編からなる短編集ですが、とっても切ない恋愛模様が描かれてます。
当時の橋は今みたいに鉄道がなかったので人々にとって重要な役割をはたしていたのが覗えます。現代の駅みたいな役割を果たしてる感じですね。

とにかく出会いや別れを情感溢れるタッチで紡いでおります。

どの話も本当に良く出来ており苦しみ悩みつつも情熱を持って生きている姿が胸を打つ。
そんなに展開的に無理はないし、時代物であるだけにあざとさも感じられない。
特にセリフが自然体で受け入れやすかったですね。

読み終えて、生きて行く上で大切なのは結果より過程であるということを教えてくれてるように思えました。
橋の向こうは違った生活が営まれてる点が作品全体を支えてるような気がして、思わずそれぞれの橋を東京に行って散策したい衝動に駆られますよ。

多作な作家さんなので1冊だけでは判断できないと思いますが、文体的にはしっとりしていて乙川さんよりは読みやすそうです。

早く読みすぎてもったいなかったかなあ。また再読しますね(笑)

特に良かった短編・・・「約束」「思い違い」「赤い夕日」
ただし10編ともハズレなしです。

無性に人がいとおしくなる1冊です。

評価9点 オススメ!



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