『幽恋舟』 諸田玲子 新潮社 - 2003年05月16日(金) 諸田さんの4作目の挑戦となる本作は時代物のサスペンス作品である。 諸田さん著作リストは《こちら》 作者の幅の広い作風を一気に知らしめた作品と言えそうで、山本周五郎賞にもノミネートされました。 テーマはズバリ、“身分・年令を超えた愛!”47才の旗本兵五郎と17才の女たけに恋をします。 読ませどころは2人の恋の行方と謎の女たけの正体。 謎を深くする為にノスタルジックな描写もあって引き込まれました。 妻を亡くし、娘も片付いて人生に少し退屈しかけていた兵五郎がある日仕事中(舟番所にて)謎の美少女たけを救う事から彼の人生が変わります。 不思議な生い立ちのたけ御家騒動に巻き込まれ命がけで助け出そうとして行く所が見所なんだけど、確かにたけを守る事によって若返ってますね(笑) 彼のたけに対する心の葛藤を表すシーンは胸に刻み込まれました。 今で言えば中年だろうけど当時の47才は“人生50年”なので老年に近いんでしょうね。 ミステリーとしても結構、あっと言わせられる結末が待ってますので読んでて楽しいですね。 序章の設定も初めは誰のことかなあと思いますが、あとになってわかるのでこれも上手く生かされている。 平凡に生きてた主人公、人生の転機ってこんな風に訪れるのだなあと感心した作品でもあります。 ミステリー・サスペンス好きにも読んで欲しいです。 そうそう、剣豪シーンもなかなか素敵でしたよ。 評価8点 ...
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