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『翼はいつまでも』 川上健一 集英社 - 2002年12月30日(月)

坪田譲治文学賞受賞の本作は、今年重松さんが『流星ワゴン』で1位に選ばれた2001年の本の雑誌社の年間ベスト1に輝いてます。
誰が読んでも良かったと思える本 だと率直に思いました。

舞台は1960年代、ビートルズが売れ出した頃。青森県に住む神山という名の野球を愛する中学生の胸キュンな物語と言ったらいいのでしょうか・・・

第1章は野球部での出来事を中心に、主人公がビートルズの歌を通して勇気を与えられていく姿を瑞々しく描いています。田口・中川両先生のキャラがとっても物語を盛り上げています。

第2章は前章で、少し(?)成長した主人公が、夏休みに十和田湖にひとりでキャンプに出かけ、同級生の女の子に初恋をします。そして別れ・・・

そして終章は30年後の同期会での出来事となってますが、ここでのスピーカーから聞こえてくる斉藤の言葉には胸を打ちました。又、中川先生のボールにまつわる話はこの物語を集約してるような気がします。

簡単に言うと上記のように恋愛(というか初恋)中心に語られてるだけですが、友情・親子愛・家庭環境・別れ・大人(先生)の本音と建前など、現代にも通じるいろんな問題を提起しれくれていて、それぞれを心地よく受け入れることが出来ます。

読者を純真無垢な気持ちにしてくれる恰好の作品と言えるでしょう。
特に、“人と人との強い絆”を強く描いてるなあと感心しました。

未読の方、是非手に取って下さい。きっと中学生時代にタイムスリップして、“何かに一生懸命になる”ことを思い出させてくれるはずです。
心が暖まって本を閉じることが出来るでしょう。私は他の川上さんの作品も無性に読みたくなりました。

最後に一番好きなフレーズを引用します。斉藤多恵の言葉です。
『人を好きになるって最高にすてきなこと。男の人はね、女の人を好きになったら堂々といってほしいな。』


評価9点。 オススメ


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