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『さみしさの周波数』 乙一 角川スニーカー文庫 - 2002年12月31日(火)

角川スニーカー文庫だから切ない話を期待したのだが、少し肩透かしを食らったという印象は拭えない。

全体的なまとまりという点においては、筆力を以前より高めてるのでしょうが、従来の独自の乙一ワールドが陰を潜めてるような感がした。

全4編からなるが、それぞれの話の着眼点はどれもがいいと思うのですが・・・
しかしながら「手を握る泥棒の物語」は秀逸。(本人もあとがきで語っています)話の内容がユーモアをまじえたミステリー仕立てとなっており、最後にあっといわせてくれてなおかつ読後感もいい。高いセンスを感じ取る事が出来ます。

残り3編はいずれも切ないのだが、どれもがエンディングが物足りないような気がした。
特に最後の「失はれた物語」なんかはいい話なだけに残念・・・

やけに“あとがき”が面白く感じられたのは私だけじゃないはずです。

評価 7点。


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