『イン・ザ・プール』 奥田英朗 文藝春秋 - 2002年12月10日(火) 5編からなる連作短編集です。 読んでいてとっても楽しい小説というのがあるが、まさしくそういう小説だ。本の装丁もキレイ。 まるで戸梶圭太さんの小説を読んでいるような気分にさせられるが、個人的には奥田さんの方がキッチリ書かれているような気がする。 誰も伊良部先生のようになりたくない。しかしとっても魅力的な人物だ。各話の被害妄想に陥ったり、心身に変調をきたした登場人物が、はじめは伊良部先生を馬鹿にしているが、やがて彼を頼りにしていく過程がたっぷり楽しめる作品である。 はじめは変人に見えた伊良部先生だが、知らず知らずの内に、最後には登場人物の方が変人であるということがわかる。そこが奥田マジックだ。 奥田さんはいろんなジャンルの作品を書いていって確実に筆力を高めていっているように思える。とっても現代的な題材の小説を書けると思うし、次はどんな内容の作品だろうかと期待を持てる実力派作家である。 結構、人間の奥に潜む部分を上手くかつさりげなくえぐり出している。帯に“爆笑小説”と書いてるが、そう言った読み方も出来るし、逆に深く考え込んで読むことも可能でいずれにしても読者次第です。 私は前者7割、後者3割で読みました。内容自体は社会派的な要素も含まれてることは付け加えておきたく思う。 逆に本作品は、直木賞にノミネートされた作品でありそれも頷けるが、他の作品で是非受賞して貰いたいとも正直思う。 サラッと気楽に読むのには最適の1冊であると言えそうです。男性だったら看護婦のまゆみちゃんに注射してほしいと思う筈ですよ(笑) 1番印象に残った作品は「フレンズ」です。 評価8点。 ...
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