白い原稿用紙

DiaryINDEX過去未来


2004年03月26日(金) ささやかな大冒険

一世一代のお片付けがちっとも片付かず
気がついたらアタマの中でナニカがぶち切れて
とりあえず目の前のものを
ゴミ袋にぶちまけてしまった今日この頃です。
ぶちまけた割には燃えるゴミと燃えないゴミは
わけているあたりが
まだまだぶち切れ方が足りないようね。

まだすんでいない家の工事とかあっちゃって
けっこういろんな打ち合せや相談に
まだまだ時間を取られるのよ。

昨日だったかしら。
屋根の工事をしなきゃならないんだけど
それをするにあたって
せっかくだから屋根に登らせて頂いたのん。

連棟式のこの家の屋根は
数件分がひとつになっていて
まるで学校の屋上のように広いの。
いっぺん 登ってみたかったのよ。

工務店の職人さんが状況を見るために
梯子をかけていらしたので
「あたくしも 登らせてええええ」と。
だんなまで呼んで、屋根の上に遠足。
お弁当は持って行かなかったけど。

お弁当どころじゃなかったわよ〜。
その折りたたみ式の梯子の恐かった事〜〜〜〜〜。
あまりの揺れに
梯子から身体を離せないので
足が曲げられないのよ。
はしごってどうやって登るんだっけ?

最初 途中で挫折。。。。。
これはとても恐くて登れたもんじゃないわ と。

でも 見たい。
屋根の上とそこからの景色をどうしても見たいっ。

だんなが下で「押さえててやるから」と言うので
再度挑戦。
梯子にへばりつくようにして
息も絶え絶えに上までたどり着いたものの
恐くて梯子から手も足も離せず
屋根に乗り移るのにまた一苦労。

ようやくひーこらと屋根にあがれた時の爽快感は
筆舌に尽くしがたかったわね。
2階の屋根の上は思ったよりずっと高かったわ。

職人さんがあれこれ状況を見ている間ずっと
屋根の上で遊んでいたの。

あっちからこっちと歩き回り、
自分の家につけた天窓を上から覗き、
ついでにその天窓についた汚れをちょっと落とし(^^;)
ハンカチを持っていなかったので
ちまちまと手で拭いたわ。

実はその時
うちにいつもの大工さんがやってきて作業をしていらしたの。
その方に断わり無しに屋根に登っていたので
作業を終えた大工さんは
終了の挨拶をしようにも家に誰もいないので
困っていらした様子。

上から元気に名前をお呼びすると
見上げたまま かな〜り長い事固まっておられたわ。
ご、ごめんなさい おどかしちゃったわね?

ナニ この奥さん

とか顔に描いてあったわ。

すぐに降りてお疲れさまの挨拶をしようにも
一度降りたらきっと2度と登れないわ。恐くて。
まだ降りたくなかったので屋根の上から
「おつかれさまでした〜〜〜〜」
ななな なんて態度のでかい。。。。。

屋根の方の職人さんの確認作業も終わり
降りる段になって
梯子を降りようとそこに近付いたはいいけど

恐くて降りられない〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

実はちょっと高所恐怖症入ってるのよ あたくし。
なのに好奇心に勝てなかったの。
でもこの恐怖にも負けそう。
なんていろいろ負けっぱなしなあたくし。

こ、これはとても降りられないわっっ。
あたくしは一生この屋根の上で暮らす事になるのかしらっっ
とか本気で考えましたわ ええ。

だんなが上で「押さえててやるから」と言うのだけれど
はっきり言ってこの
「押さえてる」動作になんの意味があるのかしら。
アタマではわかっているのよ。
かけられた梯子が漫画のように
人を乗せたままバタ〜〜〜〜ンとか倒れる確率は
きっと とっっても低い。
わかっていても沸き上がって来るこの恐怖心。

職人さんが笑いながら

「下を見ちゃダメだ」

ああ、このドラマチックなセリフを
自分の実生活で聞く事があろうとは。

でも職人さんっっ。
下を見ないでどうやって梯子の段に足をかけろと?

折りたたみ式のそのアルミの梯子は
屋根の上の地面より
人の身長分くらい高めにとび出していたの。
それに足をかけるには
当然横からまず梯子の正面にまわりこまなくてはいけないのよ。
それが恐いの〜〜〜。
頼り無い梯子は揺れるし、
一瞬でも 身体の前に空中があるわけよ。
三階分の高さの。

もう あたくしはこのまま
余生を屋根の上で暮らす決心を固めようと思ったわよ。

でも それもいろいろ人様に御迷惑をかけそうだわ。
買い物にも行けないし トイレはどうすれば。

えいっと度胸を決めて
横から梯子に飛び移る。
ほんとのところ飛び移ったなんて華麗なものでなく
つぶれたカエルもかくあらん という
みっともなさだったと思うけど
自分の姿なんか見えないからいいの。

でもその最初の段に足が届いた瞬間には
もうさっぱり 恐くもなんともなくなっていたわ。
さっきまでのあの極限の恐怖心はなんだったのよ
と言うくらい。

恐怖心と言うものは
やっぱり
生物が持っている生存本能のひとつなのでしょうねえ
と しみじみ感じながら梯子を降りたわ。

あたくしは自分が死ぬ事への恐怖心は持っていないと思うの。
いつかは誰もが死ぬんだし
あたくしはいつ死んでも まあ精一杯生きたと
満足できると思っているのよ。

でも それとは別に
こうやって異常な事態に出会った時
(出会ったんじゃなくて好き好んで呼び寄せたんだけど)
沸き起こって来る恐怖心っていうのは
生存本能が出している警戒警報なんでしょうね。

気をつけろ
慎重になれ
お前の生命が危機にあるぞ

と。

それは自分の死を迎える覚悟とは 
また
違ったところで鳴らされる警報だと思われるわ。
覚悟は知性。
恐怖心は本能。

それでも
あたくしの中にあった
一生を屋根の上で終えても良いと思っちゃうくらいの
度を越した恐怖心は
軽いカルチャーショックだったわね。
意外と生きる事に貪欲なのね あたくしってば。

ちょうどその夜
深夜の映画でダスティホフマンのアウトブレイクをやっていたわ。
恐怖心からチームを危機に晒した新米に彼がいうセリフ。

「恐怖を感じないような奴とは仕事をしたくない」

ありがとうございます、と思わず画面に向かってお礼など。

それにしてもねえ
あたくしが寿命とか病気以外で命を落とすとしたら
文字どおり
この好奇心の強さが命取りになるのかもしれないわね。

あたくし
今まで生きて来た上でけっこういろいろあって
もう恐いモノなどないわ と本気で思っていたんだけど、
この度見つけたこの恐怖心は
なんだか ものすごく 原始的で本能的で
知性の生き物 
霊長類、人類とはかけはなれたものだった気がして
嬉しかったわ。

人間って動物なのね。
野生が持っている本能はまだまだ
人間の中にもあるのねっ。

自分が野生であったことが嬉しいわ。

「今さらわかったの。
つね日頃からマリトは野生だと思っていたわよ」
と言う声があちこちから聞こえてきそうだけど。

さて そして 野生のあたくしは最近
朝とか昼間、家に関する事にかかずらわり、
夕方 なるべく入院している父の見舞いに行き、
夜 仕事関係を片付け(ようと)しています。

そんなこんなで
日記が滞っても元気に走り回っております。
というわけで また〜〜。


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