白い原稿用紙

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2002年09月13日(金) 戦いすんで夜が明けて

50時間で、1時間と30分。

今回の最終修羅場の 睡眠状況です。

なんかもう 
ナニ描いたか覚えてないんですけど。

仕事終わらせて寝て、
5時間ほどで目が覚めて
この日記を書いてるので
まだ 妙なハイテンションで 
こっちもナニ書いてるか わからないかも。

でも なにがコワイって
普通 こういう仕事の状況だと
襲い来る睡魔と 
猛烈に戦いながら描くわけだけど
ほとんど 
戦わなきゃいけないような
強力な睡魔が訪れなかったこと。

確かに お薬も多用したけど
普段なら
お薬なんざ きかない状態になるの必至、
という状況だったのに 
変ね。

あたくしのどこに
そんな根性と体力が残っていたのやら。

根性と体力は
ここ数週間の大掃除でつちかったとしても
睡魔撃退のおまじないは 
してないはずだけど。。

なんだか 面妖な。

考えられるのは
精神的緊張感かしら。

こんな 内情をばらしてはいけないんだけど
修羅場明けのハイテンションで
書いちゃうわね。

今回は
長い漫画家生活 初体験の
「部分先入れ」だったのですの。

印刷にかかる時間の関係で
カラーページを
モノクロページより先に入れるのは
普通です。

ところが
せっぱつまって〆きりが遅れた場合、
部分的に 先に入稿して
印刷を始めて頂く事がありますの。

印刷機というものは
16ページ、32ページという単位で
一枚の大きな紙に印刷するのが普通です。
それを折って 製本して
ああいう本の形になるわけですね。

つまり最低、16ページそろわないと
印刷が始められないということです。
(8ページからの印刷機もあるようですが)

で、せっぱつまると
全部のページが仕上がってなくても
16ページごとに印刷を始めてしまうわけです。

今回
まずカラーページ冒頭4ページ分を
先にお渡しして 印刷にまわし、
そのあと、まん中をとばして
最後の12ページを先にお渡しする事に
なちゃったわけなのね。

台割りの関係上、
あとの4ページは他の作家さんのページ。
あたくしが遅らせると
その作家さんのページも印刷できなくて
そのかたに迷惑をかけてしまうということなの。

そういうわけで
32ページのうちの
おしりの12ページを先渡し、
そしてカラーページのあとの
まん中の16ページを最後にお渡しする
という事態なわけですの。

12ページをお渡ししたあと
ちょっと体力の限界かしらんと
ほけ〜〜っとしてたら
コワイ考えになってしまいました。

ソコツ者のあたくしが
ほけ〜っとするあまり
うっかり階段からでも落ちたりして
利き手を折っちゃったりして
残りのページが
描けなくなっちゃったりした場合。


カラーページが4ページ入り、
いきなり16ページ分の 
他の作家さんの代替え原稿が入り、
(もしくは16枚分の真っ白なメモ用紙が入り)
それが終わると
お話しが続いていない
あたくしの12ページ分がいきなりまた入る 
という、
愛する掲載誌を
商業誌としてあるまじき形態に陥れてしまう
ということになるのね。


なにしろ その中途半端なブツは
すでに印刷されてしまっているのだから
「すいませ〜〜ん、
残りの原稿 間に合いませんでした〜〜」
というわけには 死んでもいかないのよ。

まん中がない掲載作品などというものは
あってはいけないシロモノです。

そんな あってはいけないシロモノを
他ならぬ このあたくしなら
やらかすかもしれない、という
とってもコワイ考えになってしまったのでした。

なにしろ修羅場中の
混乱頭脳回線だったもので。

この 今回の
久しぶりの ぶっ続けお仕事体勢は
そのコワイ混乱頭脳回線が
睡眠欲望を抑止したものかと思われます。
疲れもあまり感じなかったので
他の回線も
いろいろショートしていたかと思われます。
きっと
いろんな脳内麻薬が出まくっていたでしょう。


人間、
いつくになっても
『初体験』というものは刺激的なものですこと。

もちろん、漫画仲間の友人の中には
そういう状態を 
何度もくぐりぬけたツワモノが
たくさんおりますけど。

あたくしは もうこりごりでございます。

いやはや
今回の大掃除がはらった犠牲は大きかったわ。
一番被害を受けたのは
編集部の皆様かと。

ワタクシ事で御迷惑をおかけして
申し訳ありませんでした(平身低頭)

でも こういう
もうアトがない、崖ップチの状態で
漫画を描く、とう事自体は
実はあたくし 嫌いではありませんの。

いつもとは違う状態、時間内で描いていると、
今までは見えなかった事や
考えもしなかった手法があみ出されることが
多々 ありますのよ。

時間があるときには 試せない
やってみたかった描き方やトーンの使い方、
または余計なトーンをはぶく度胸などは
こういう時に生まれます。
「迷いなく線が走る」という
漫画描きにとって最高の気分の良い状態も
こういう時に 存分に味わえます。

それが どんなに荒っぽい原稿に見えるかは
今は 考えたくないですけど。

こんなトコロで言い訳じみたことを描くのは
漫画描きのとって恥ですが、
今回の原稿が
なげやりに荒っぽく見えたとしても
この時 確実に掴んだナニかは
きっと この先の原稿に生かしたいと思います。


そう。
「絵にかかる時間がない」
というのは
漫画描きにとって 本当の恐怖ではありません。

ほんとうの恐怖は
ネームが出来ない事なのです。

ネームが出来ないと悩んでいる漫画家仲間に
幸せが訪れることを祈りつつ。

たぶん
これから あたくしは本格的な
「仕事明けの睡眠」に入りたいと思います。
2〜3日は使い物にならないくらい
寝狂うと思いますわ。

とりあえず 皆さま、
しばし おやすみなさいまし。


藍まりと |MAILHomePage

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