白い原稿用紙

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2002年07月27日(土) キスケ(を)大走査線

昨日丸1日 
三にゃん坊のキスケが帰って来ませんでした。

どうせこのところ、全然
家に帰って来ない不良息子なんだけれど
丸1日 帰って来ない時は
必ず 何かやらかしているのよ…
おかしな怪我をして帰ってくるのよ。

異常に人懐っこいし、
どこか別宅があるとも疑っているあたくし。

とうとう別宅を本宅に決めたんじゃないかしらと
あきらめ半分に思ってみちゃったり。
猫は 犬以上に「飼い主を選ぶ」とか言われてるし。
あんまり選ばれる自信ないし。

昨日1日、何度も探しに出たけどいない。
ウチの猫達はみんな、外では
名前を大声で呼ばなくても
チッチッチッと舌を鳴らせば
飛んでくるように習慣付けてあります。

そしてそれは夜中の一時。

あちこちで舌を鳴らして呼んでみる…
どこからともなく必死で答えるキスケの声が……。
昼間は雑音が多すぎて、
小さな舌打ちくらいでは聞こえなかったのが
夜中寝静まって、ようやく呼ぶ声がキスケに届いた様子。

何度も呼んで位置を確認した所
どうやらウチの裏手にある広い敷地の修道院の中の
幼稚園の中の、さらに
たくさんある建物や物置きの中のどこか……。

猫達は、
その敷地にはしょっちゅう遊びに行っているけれど、
どうやら建物に忍び込んだはいいけど、
そのまま閉じ込められてしまったという所かしら。
あたくしは敷地に入ったことがなく、
中がどうなっているのか 全然知らないの。

救出しようにも
夜中の一時に、幼稚園に人がいるわけがないし、
いたとしても熟睡中、叩き起こすわけには参りません。
塀を乗り越えるのは簡単だけど それは犯罪。
仮に乗り越えたとしても(乗り越えるな)
全部の建物の窓ガラスを片端から割るわけにはいかないわ。

相手が人間なら、
一晩中声をかけて励ましてやるところだけど
脳みそが小さな猫の事だし、
声をかけ続けると
今すぐ助けに来てくれると 
余計な期待を抱かせてしまいそう。

今晩のところはあきらめて寝るようにと
心の中で言い聞かせ(言い聞かせて無い)
朝を待ちました。

園児が来る前に、と幼稚園にまず電話。
……出ないわ。早すぎたか。
夜中の静けさとはやはり違って、
聞こえないのか 寝こけているのか
舌を鳴らして呼んでも 返事は帰ってこず。

しばらく待つと、敷地内で音がしたので
もう電話ははぶいて直接出動。

考えてみれば、今日は幼稚園はお休みでしたわ。
工事の人と、日直の先生がいらしていました。
この御時世だし、
以前にも 怪しい人が入った事があるらしく
大きな門はオートロックでかなり厳重でしっかりした
幼稚園です。
(塀を乗り越えるのも、けっこう登らなければ無理です。
簡単と言いましたが、ひと様にはお勧めできません)

「うちの猫が…」
とマヌケこの上ない説明を
先生にも、工事のお兄さんにも披露して
敷地内を探させて頂きました。
舌打ち程度では聞こえないので
大声で名前を連呼。

キスケ〜〜!キスケ〜〜〜!!

もし幼稚園がお休みじゃなくて園児がいたら、
ツノの生えたヒヨコを探していると思われても仕方ないわね。
なんてアブないオバさんなのかしら。
「ああ、こんなに厳重にしても怪しいヒトが入って来た」と
嘆かれなかったかしら、先生や、シスター。。。。

ようやく答える声がして
どこに居たかといえば、
めったに使わない、用具入れと化している
広い体育館のすみっこのフラフープの束の後ろの
跳び箱の裏。
そこで固まっていて、
呼ぶ声には大声で答えるものの、いっこうに出て来ない。
黄色いしっぽだけがはみ出して見えてました。
「雀のかくれんぼ」かいっ。

フラフープをどかして 跳び箱を動かし、
顔を見たところで ようやく
情けない声はいきなり甘え声に豹変して
いそいそと出てまいりました。

建物に入れてくれて、一緒に探してくださったシスターが
「さすが飼い主さんね」と。

い、いちおう「飼い主」として
認識はしてくれていたのね、キスケ。
別宅があるかどうかはともかくとして。

その建物は、普段は使っていないので
たまに空気を入れ替えるために窓をあけるだけだそうです。
昨日か、おとといに開けた、とシスターがおっしゃっていました。
その時に入り込んで、逃げそびれた、と。

あたくしは
キスケがうちに来た時からとても頭のいい子だと
信じていました。
いろいろと、他の猫には出来ないとこができていたし。
でもだんなはこの子は馬鹿だと言っておりました、つねづね。

今日からだんなの説に1票 入れたいと思いました、あたくし。

お姉ちゃんたち、2匹は
こんなバカはやらかしたことはありません。

キスケを片手に抱いたまま、
動かした用具を戻そうとした所、
大きな音がして
固まって居たはずのキスケは 突然氷解、
「さすがの飼い主」のはずのあたくしを
蹴倒した上、置き去りにして逃走しやがりました。

まあ、家はすぐ塀を越えた裏手。
ためしに呼んでみた所
塀の向こうから答える声が……。

シスターに平謝りの上 お礼を言い、
もし何か粗相をしているようなら御連絡を、と
申し上げましたが
「それより無事でよかったわ」と
おっしゃって下さいました。

蹴られて血だらけの腕をかかえて
家に帰った所、
階段から降りて来つつ、
何事も無かったかのような顔で
キスケは「おかえりなさ〜い」と言いましたとさ。 

この おバカは当分、外出禁止の刑です。
残り少なかった猫トイレの砂を買い出しに行き、
10キロの砂と、ついでに24缶の猫缶をかかえて
帰った時には 
「プールで泳いで来たのか?」とだんなに聞かれるほど
汗だらだらのくたくたでしたわ。

キスケをののしりながら仕事に戻ろうと
原稿をかかえた時、
そばにあったコーヒーをかっとばしたあたくしも
キスケにお似合いの おバカな飼い主ね。。。。

ちなにに 原稿は無事でしたが
あたくしのジーパンはコーヒーまみれ〜〜。

ちゃくちゃくと遅れて行くお仕事。
あ、でも大丈夫ですよ〜
御心配なさらないで。
締め切りには間に合わせますから、編集さん。


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