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千と千尋の神隠しを見てしまったわ……。
見てしまった、と言うのは、 発売日に買っていたんだけれど、 仕事が終わるまでは……と けなげにも封印していたはずなのよ〜〜。
我慢できなかったのよ〜〜
ああ、これがかの、『ハクのおにぎり』なのね〜〜 とか感動しながら。
食べたくない、という千尋に 「元気が出るおまじないがかけてあるから」 とおにぎりを差し出すシーンで思い出した事が…。
もうかなり昔になるけど、 あたくしのまわりには、 ネームが出来なくてのたうちまわる漫画家が とても多うございます。 …あたくしのまわりには限らないらしいけど。
小学館の学年誌で とてもかわいい魔女のお話しを 連載していた友人がおりました。 それは毎回、小学生が喜びそうなおまじないを 盛り込まなくてはいけなくて それが 普通にネームをやるのに加えて とても大変そうでしたわ。
他に、ショート漫画を連載している友人がおりました。 毎回ネームがすんなり通らなくて、 ハタで見ていても どうしようかと思うくらい 大変そうでした。 漫画家を続けて行く事さえ 辛そうだったくらい。
そのショートの友人がいつものように苦しんでいる時、 魔女の友人から 差し入れの荷物が届いたそうです。 それは、魔女ちゃんの手作りのお惣菜だったり、 ショートちゃんが好きそうな小物だったり。 その中に かわいいシャープペンシルが入っていて、 こう 手紙が添えられていたそうです。
「このシャープには ネームができるおまじないがかけてあるの。 次のネームはすいすいできるわよ」(意訳)
ちょ、「ちょっといい話」じゃありませんか? (友人達よ、勝手に公表するのを許してね)
ショートちゃんはその時 「漫画家やっててよかった」と 心から思ったそうです。
ショートちゃんのその時の感激ぐあいは 他人であるあたくしにはわかるはずもないけど あたくしなりにそのお話しには ほんわかしちゃったのよね。
ネームに苦しんでる魔女ちゃんだからこそ出来た やさしい心遣いだわ、と。 だったらそのシャープ、自分で使え、などと 野暮なつっこみはないことにして。
ほんとに ほんの少し、 誰かのやさしさに触れられた時 それで元気が出て救われる時があるのよ。 せっぱつまった時ほど、 敏感にそういう優しさを見つけ出せるのね。 見つけ出したというより、送られて来たんだけど。 送る人を間違えれば 鼻で笑われたかもしれない事。
ハクのおにぎりと 魔女ちゃんのシャープには とても立派に おまじないがかかっていたと思うわ。
それでその後、 ショートちゃんが、すいすいネームができたかどうかは 忘れちゃったけど、 少なくとも また没をくらっても へこたれないだけの元気は 充電できていたはずです。
さて あたくしは只今 ネームを手直ししながらの下描き作業中。 残念ながら あたくしは そのシャープを持っていないので 自力でなんとかしたいと思いますっ!
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