白い原稿用紙

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2002年06月11日(火) トーンの歴史

今日はネームを考えながら 
一仕事終わった時のお約束として
トーンの整理など…。

でもトーンの整理って
けっこう一心不乱になっちゃって
とてもネームを考える頭が働きません。
キリが無い作業なので
いいかげん このへんで終わりにしないと。

なにしろ トーンの数は5つの棚にまたがり
全部で56段分。
本気で整理をするには1週間はかかりきります。

次から次へと おもしろい新種のトーンが出るものだから
つい片端から買っちゃうのよねぇ。
昔は すごく高くて おいそれと買えないものだったけど
いい時代になったものだわ〜〜。(あら ババくさいわ)

そういえば 昔 新種のトーンが出た時に
それがオタクっ子御用達のお店でしか手に入らなくて
気が進まないけど 仕方ないので出かけて行き、
お目当てのトーンを山ほど抱え、
たくさんのオタク少女に混じって
レジの列に並んでおりました。
ら、
列の片隅から こっちを差してひそひそと声が… 
「すごいトーンの量…プロ目指してんのかな」
こっちを確認したそのお友達が返答。
「…ていうか プロなんじゃない?」

よく冷静に判断なさったわね お友達。
あたくしが すでに「プロを目指す」には
到底 手後れな歳だってことを。

あたくしが、
オタクっ子御用達のお店に行くのに 気が進まないのは
決して オタクっ子が嫌いなわけでなく
(すでに自分がオタク)
こういう 歳若い 可愛いオタクッ子ちゃんたちが
一枚一枚 大事に 迷いつつ
お財布と相談しながら 丁寧に選んでいる横で
そのトーン棚を空にする勢いで
かっさらって行く自分がちょっと いやん だからなの。
ごめんね ごめんね。
一枚 残しておくわね(焼け石に水)

だいたい、
今ほど 安く、いろんなトーンが出回るようになったのは
そもそもが 
こういう漫画好きの良い子ちゃんたちのおかげなのよ。
他の漫画用の道具や、資料集なんかもよ。

その昔、アシスタント時代、先生が言いました。

「この世に漫画を描くための道具はないんだ」と。

定規、コンパス、各種ペン先 インク 原稿用紙
すべてが他のジャンルからの借り物なのだと。
ほとんどが製図や設計図を描くための道具だったそうです。
もちろんトーンも。
「漫画専門の道具」を作って商売にするには
漫画家の絶対数が少なすぎて なりたたなかったそうなの。

その頃よりは 漫画家の数は
比べ物にならないほど増えたとは言え、
ここまで 「漫画専用」のトーンや道具その他が
出回るほどじゃない。
漫画家だけを相手にしていたのでは
やっぱり昔のトーンみたいに 
ものすごく単価が高くなっているはずなのよ。

楽しみのため、
商売じゃなくて 趣味のため
トーンを 一枚一枚 大事に選びながら
コツコツと描いている 漫画好きの良い子たちが
ここまで漫画のための道具を発展させたのよ。

ありがとう オタクっ子たち、
ビバ オタクっ子たち!

なんてことを考えてないで 
とっととネームをやらないと
その
素敵なトーンを貼る所までこぎつけないのよ。


藍まりと |MAILHomePage

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