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もう敵わないと思う。そもそも比べられるレベルじゃない。分かっていたはずなのに、どうして今頃になって思い出すのだろう。貴方のことが好きだとか、奪ってしまいたいとか。でもそんなことは出来なくて、実際にはただ堂堂巡りの繰言を呟いているに過ぎない。遥かに過ぎる君の声を、聞いているのが酷く辛い。
振り返るといつもそうだったということを思い出す。己は己が決して敵うはずも無い人ばかりを好きになる。己のレベルの低さを知りながら、己では決して満足させることの出来ない相手を好きになる。 無いものねだりというやつで、どうしようもなく子供な証拠だ。己に無い物を持っている人、その人を手にすることで、己がその才を、能力を手に入れたような気分になりたいだけなのだ。その人との同一化を望んで、その人の持つ何かを模倣して、手に入れようとしている。 出来る筈が無い。そもそも相対することすら叶わぬ人なのだ。何もかもが己とは次元の違う世界だ。
冒頭を読んだだけで、己の膚が粟立つのを感じた。それは恐怖と云っていい。圧倒的な力と、それに押しつぶされる己への絶望が己を塗りつぶす。読むことが怖いなんて思わない。現実に相手を知っているだけに、物理的には手の届く距離にいるだけに、その敵わなさに悔しいと感じることすら出来ず、ただただ怖い。
文章が綺麗だと前に云ってくれたことが合ったような気がする。それだけで嬉しくて堪らなかった。良かったと云ってもらえて舞い上がった。 だから知っていたつもりだった。彼の凄さと云うものを。圧倒的な力を直に見る。文章というものの強さが己を打ちのめす。こんなにも焦がれて止まないのに、惹かれ続けているのに、こんなにも怖くて堪らない。
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