ゼロの視点
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2007年10月15日(月) 水族館

 品川プリンスホテルで、母と待ち合わせ・・・・・、と書いたけれど、ま、別に母がここに一人でやってくるのではない。今日は、母が生活している グループホームの遠足で、品川プリンスホテル内にある EPSON AQUA STADIUM に、ホーム入居者&介護者がやってくることになっているのだ。

 ホームの遠足は、入居者家族の参加が大歓迎ということだったので、昨日の大相撲に引き続き、こんな機会じゃないと、自らなかなか足を運びそうにもない水族館という場所へ、夫と2人で参加してみることにした。

 昨年のホーム遠足へは、従姉H嬢の婚約者F氏が家族代表として参加してくれた。ちなみに行き先は、伊香保温泉。ところが、温泉は健常者には楽しい場所でも、認知症が入った人間には、たいした刺激になる場所でもなく、遠足の甲斐がそれほどない・・・、ということで、今回は、水族館になった。ま、たしかに、老人も子供のようになってくるわけで、となれば、必然的に水族館などのほうが刺激があり、飽きずに長時間楽しめる・・・、ということなのだろう。

 待ち合わせ場所に、母たち認知症軍団がやってくる。母は、そこに自分の娘を発見すると、《なんで、ゼロちゃんここにいるのぉ ?!?!?!》と無邪気に尋ねてくる。《だから、てめえに行くっていっただろ、ばばあ、何度言ったらわかるんだ、アホ》などと、心の中で怒りながらも、そういう突っ込みはするな!、と、介護軍団よりきつくしかられている私ゆえ、内心とは裏腹に笑顔で母に接してみる。これが、むずかしいのだが・・・・・(涙)。

 昼食のためにレストランに入ると、《ご家族で一緒に》ということで、私達親子&夫の3人で着席。夫が《ゼロは、バカです》等と、つたない日本語で母に向かって発言すると、母は大喜び。なので、調子に乗った夫が、ここぞとばかりに、続けていく・・・。

《ゼロはいぢわるです》
《ゼロは怖いです》
《ゼロはだらだらしてます》
《ゼロは鬼です》
《ゼロはなまけものです》

等、いっこうにやめる気配のない夫。そして、もう嬉しくてしょうがない母・・・・。

あんたたち、なんなの?。

で、いつどこでそんなに語彙をしこんできたんだ、夫よ?!?!?!。

 母もどんどん調子にのって、《こんなの、生意気なんだから、殴っちゃいなさいね〜♪》と、夫に向かって満面の笑み。で、そんな母の言葉を夫が私に訳せというが、誰がじゃ、おい、どうして、私が私の悪口を丁寧に訳さにゃあかんのだ、おのれっ!!!!、ということで、通訳を軽く拒否してみたものの、別に彼らにはたいしたダメージがないようで、私をサカナに、2人で盛り上がっている。こっちとしても、とりあえずこれでこの人らが嬉しいんであれば、ま、いっか、ということで、放置。うーーん、大人だなあ、私(笑)。

 しかし、もしここへ、私と母と夫の三人“だけ”で繰り出してきているのであれば、ここまで余裕はかませないだろうと、介護者の方々につくづく感謝しながら、ランチ。

 日本語のわからん、それでいて鉄砲玉のように欲求のままに走り出す夫と、認知症な母を一人で連れて、水族館・・・・、なんていう恐ろしいことは、とてもじゃないが私はしたくない。もし、したとしても、道中ずうっと般若面になってしまうだろうし、そんな私を見て、夫も母も不穏になるに違いないのだから・・・・・。

 その点、プロの介護師の対応は、本当に素晴らしい。いやあ、お金を払って母を任せているけれど、ここまでやってくれるのだったら、もう、感覚的にはお釣りあって余りあるというか、なんというか・・・。

 ランチの後、いよいよ水族館めぐり。エイとサメ海中トンネルでは、ちょうどお食事タイムだったこともあり、エイとサメが餌として与えられた魚をしとめていくのを間近で鑑賞できた。で、これが非常に面白く、ついつい母のことも夫のことも忘れて、私が見入ってしまった(汗)。

 お次は、イルカショー。夫は、デジカメでイルカが海面から飛び出すたびに、シャッターを切っていたが、デジカメ特有の時差があって、シャッターが切れたときには、すでにイルカは水面下・・・、という写真ばかり。イルカショーじゃなくて、ただの水しぶきショー?、という出来栄えに、夫は不満気味。一方、母のほうはそれなりに、ショーに集中して鑑賞できていた模様で、ホッとする。

 引き続き、アシカショーなどを鑑賞したあと、母たちご一行は、帰宅時間となり、貸切観光バスに全員がのったところで、私と夫で手をふりながらバスを見送る。母は、私達にも一緒にバスに乗って来いと譲らなかったが、ま、そこは介護師さんらの機転のきいた台詞で交わしてもらい、なんとか一足先に母に帰ってもらうことに成功した。

 介護師付とはいえ、それでも母に対して結構神経を使っていたので、母が帰っていった後は、しばし放心状態だった私。なので、気分転換をかねて外をあてもなく歩きながら、八芳園まで行き着いたので、そこの庭園で休憩。見事に手入れの行き届いた庭園で、夫と2人でうたた寝(笑)。

 その後、従姉ES嬢とそのお供H嬢と、昔から私が大好きな白金台の中華レストラン・聚寶園にて待ち合わせ&夕食。通いなれた店の前に来ると、張り紙を発見。なぜか悪い予感がして、張り紙を読んでみると、なんと、聚寶園が今月一杯で閉店と書いてあるではないかっ!!!!!!!!。ショック・・・・・・・・という安直な言葉で言い表せないほど、ショック・・・・・。

 道路拡張工事で、聚寶園以外の店はすべて皆退去して久しかった。でも聚寶園は、そんなプレッシャーにめげずがんばって昔からの場所を死守してきたのだったが、それでもとうとう閉店になってしまうとは、なんとも悲しい。

 ということで、あまりにもショックなのと、恐らくコレが最後の聚寶園だと思ったら、無理やりにでもたくさん食べておきたくなった私は、たくさん注文したあげく、食べ切れなかったものは、ドギーバッグにしてもらい、ちゃっかりお持ち帰りにした。うーーん、自宅でも聚寶園が楽しめて一石二鳥。

 母もボケていき、思い出の聚寶園もなくなってしまうのかぁ・・・・、と思うと、一瞬だが、なんともやるせない思いが全身を駆け巡ったゼロでした。

ううーん、諸行無常の響きあり、かぁ・・・・・。


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