ゼロの視点
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2007年08月08日(水) 模様替えPart1

 母が、実家に住まなくなって、早くも1年半が過ぎた。その間に、すでに私は3回実家に戻り、空家状態の実家を管理している。ま、管理と書くと大げさだが、とはいえ、モノを捨てたり、整理したりと、やろうと思えば、することは無限にあったりする。

 以前の日記にも書いたが、その一環で、あらゆる不要と私が判断したものは、即座にゴミ袋に入れられ、クルマ一杯につまれたあと、清掃センターに直接私の手によって運ばれ処分される。そして、この行為がどうも病み付きになってしまった私は、実家に戻るたびに、何か捨てるものはないか?、と目を皿のようにして実家の中を物色して歩くことが多くなってきた。

 が、さすがに捨ててばかりいてもしょうがない・・・・・。お次は、母がいた頃には、微塵も考えなかった《部屋の模様替え》という可能性に気づいた私。恐らく、多くの人が実家を自分だけの好みで模様替えする・・・、なんてことは考えたことないだろうし、なかなか実行するには難しかったりするのではないだろうか?。というのも、そこにまだ親がいれば、親がそんなに簡単に子供たちの趣味だけで、自分たちの家を帰られることを望まないだろうし、もし、親がOKでも、他の兄弟姉妹が反対だったりとか、なかなか簡単にはいかないと想像する。

 しかし、今回、誰も邪魔する人間もいなくなった現在、禁断の(?)模様替えに、私はとうとう着手してしまったっ♪。昼下がりのコーヒーを飲みに、我が実家に遊びに来ていた近所の幼馴染MT嬢が、自分の家に帰っていった直後の、GWも過ぎたとある日の19時過ぎ・・・・。

 ふと、ダイニングに敷いてあるカーペットに目が留まったのが運の尽き・・・・。何度も気がつかないフリをしてみたものの、もう、どうにもこうにもカーペットの染みなどが強烈に気になり始めてしまった。これらには、もう2年くらい前から気づいていたのだが、まだ母が実家に鎮座していて《これをとっちゃうと、足元が寒いからやめてっ !!!》と、何度も言われていたゆえに、毎回我慢をしてきたものだった。

 で、とうとう、やってきてしまったチャンス・・・。30分弱躊躇してみたものの、気がついたら家具などを動かしだし、あっという間にカーペットをはがしてしまった後だった私。ああ、スッキリ。と、同時に、もうエンジンがかかってしまった私は、もうただただ、移動させた家具の中身までひとつひとつ吟味をはじめ、その80%以上を、ゴミ袋に入れ、また、他の敷物だの、カバーだの、そういったものは、徹底的に引っ剥がし・・・、という作業に気が触れたかのように、ひたすら没頭。

 《それにしても、なんで、うちの母親ってのは、カバーかけたり、敷物しいたり、こういう布に執着するんだっ ?!?!?!》と、常に憤りを感じながらの作業であった。ま、趣味の違いでしかないのだが、私は、カバーとかそういったものが、大嫌いなのだ。便座カバーとかも、実は嫌い。フランスにきて、こういったものをつけている家が、ほとんどないので、ホッとしている程。本のカバーですら、みな引っ剥がしてからじゃないと、読みすすめられないのも、私(汗)。

 安ホテルの部屋にある、ランプシェードなどもイライラするので、引っ剥がして、裸電球にして暮らしていたりすることも多々ある。そこを訪れる友人などは、《ああ・・・・、ゼロ、また、引っ剥がしているよ・・・・》と、私のことを哀れな目で眺めるのも恒例のこと。

 ダイニングのものを、あらゆるものを、思う存分引っ剥がしつくし、無駄な家具も外に出し終わったのが、23時ごろ、正味4時間の作業だったが、まだ、これだけじゃ終わらない・・・、ふふふ、お次は、デコレーションっ、というわけだっ。

 機能最優先な日本庶民のダイニングと違った、フランス庶民の《他人に見せる》ことが優先され、機能などはあまり重視されていないソレをイメージして、インテリアを変えていく。フランスの成金とかにディネーに招待されたりすると、そりゃすばらしい食器が出されたりするものの、肝心な食べ物の質が酷く悪いことが多々あったりする。

 一方、日本のほうは、適当な皿で出されたりしても、味の質は一般的に高い。アットホームだろうが、なんだろうが、うまいものを皆で食べるっ、という意識が最優先されているのが、アジアの食卓、と、私は思えて仕方がない。

 そして、どうしても、我が実家の実用性だけが求められた、飾り気もないダイニングの可能性を知りたかった私は、午前2時過ぎまでかかって、細かいところまで手を加え続けた。そして、すっかり雰囲気が変わった部屋に、さらに決定打が欲しかった私は、蛍光灯を消し、間接照明にしてみた。

 すると、どうだろう・・・・・・、あれ?、これ、あの実家?、というくらい、雰囲気がガラリと変わり、渋いジャズを聴きながら、冷やしておいた赤ワインSAUMUR で、働いたあとの口を、ゆっくりと潤していった。うーーん、自己満足な達成感ほど、気持ちがいいものはないっ、と、つくづく思いながら・・・・。

 翌日、再び近所の幼馴染MT嬢とその母君と3人で、母のいるグループホームへ遊びにいったあと、母を連れ出し4人で、我が実家にやってきた。そして、ダイニングに足を踏み入れると、MT嬢の母君は、《まあ、ゼロちゃん、まるで喫茶店みたいね〜♪》とのこと(爆)。うーーん、確かに、妙な喫茶店といわれれば、その通り。MT嬢は、その変わりようにかなり驚いていたものの、《また、ゼロ、はじまっちゃったのね・・・》という哀れみを、彼女からひしひしと感じられて、笑えた。

 そして、我が母は・・・・・、というと・・・・・・。

 アルツハイマーだからどうせ気がつかねぇだろー・・・、と、タカをくくっていたものの、予想に反して、母はダイニングの違いに気がついてしまったっ。なんだ、ちゃんとわかるのなら、ボケたふりしないでくれよ・・・、と、思ったほど(笑)。

 《ゼロちゃん・・・・、私の家って、こんなだったかしら?。なんか、ずいぶん広くなっちゃったみたいなんだけれど・・・?。気のせいかしら?。》

 と、真顔で尋ねられてしまって私は、《うん、前からこうだったよ、》と、真顔でしれっと、母に大嘘ついてみた。その会話を聞いていたMT嬢が、私の背後から《ゼロ、鬼畜ぅっ !!!》と、ブーイングをしていた。


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