ゼロの視点
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2007年08月05日(日) トイレ

 夫を伴っての里帰りは、2年に1度の割合で行っていて、前回は2005年の10月だった。その前は2003年の6月だったのだが、2003年の7月の初旬に、私の母は、実家のトイレをウォシュレットに仕様にした。ゆえに、夫は、2005年の10月にはじめて、ウォシュレットッというものを経験することになったのであった・・・・。

 私は、2003年6月以降も、ちょくちょく実家にいたので、ウォシュレットのある実家というのも、あっという間に当たり前になってしまっていたが、夫にとっては、2005年の10月がはじめて。というより、ウォシュレットそのものをじっくり味わう・・・、という経験がはじめてだった、といっても過言でない。

 それまでにも、日本に来ていた際には、ウォシュレットには遭遇していたに違いない夫であったけれど、本当に毎日、色々な意味で十分にウォシュレットと格闘できる時間が確保できたのは、この時がはじめてだったと、私が夫の代わりに断言する。

 実家に到着した瞬間に、私は夫に《この装置、意外に快適だから使ってみるといいよ〜♪》と薦めてみた。が、夫は即座に《こういうのは、別に必要ないと思うんだ・・》と返してきたので、《あっそ !!!!》と、私の中で解釈し、それ以後ウォシュレットについて、夫と話すこともなかった。

 さて、この時の里帰りだが、日本に戻る直前に私が急病にかかってしまったため、恒例の日本縦断旅行をすべて中止せざるをえなかった。そして、1ヵ月にわたる日本滞在は、私の実家を主にしたものになったゆえ、それだけ、夫は我が実家のウォシュレットと密かに、そして毎日、戯れていたことになる。

 私が実際に、夫の口からウォシュレットの効用について、耳にしたのは2006年になってからのことだった。そして、意外だったのは、かなり夫がウォシュレットが好きだったということ、だ。そして、そういう感触を得た瞬間、ここでバカにすると、以後、全然夫の口から、《なぜウォシュレットが好きになったか?》という物語を聞けないと悟った私は、本当の性格とは裏腹に、ゆっくり&じっくり、そして辛抱強く&やさしく夫にインタビューしていった。

 最初は、色々あるウォシュレットのボタンの意味を理解するのが面倒くさかったらしい。そりゃ、もちろん、全部日本語だったし、もし、間違えたボタンを押して、水浸しでもなったら、さぞかし私にアホ扱いされるか・・・、と考えただけでも、慎重に物事をすすめたかったのだと思う。

 ま、とはいえ、慎重という言葉を用いたものの、彼なりでの慎重さでしかないから、きっと、こんなこと、あんなことが、密室で行われいていたのだろうと思うし、また、そうであって欲しいと思うのは、妻である私の密かな希望なのだが・・・・。

 2年おきに日本に行くたびに、夫は平仮名とカタカナの勉強を付け焼刃でやる。ゆえに、この時もウォシュレットというカタカナがすべて読めなくとも、例えば、カタカナでトとウだけが判別できたとしても、小さな《ッ》とか、《ォ》などは、わからないというレベル。で、夫は、時に、日本語勉強ドリル持参でトイレに入っていた模様。そして、ようやく理解しはじめた言葉を基に、ボタンを押して、《オシリを洗う》ことを始めだしたのだと思う。

 ソフトに洗ったり、ハードに洗ったり、色々な効能を、密かに楽しんだ挙句、夫はとあることに気がついた・・・・・。《別にBIGなメニューを選択する気もなく、トイレに入ったものの、ふとボタンを押してオシリを洗ってみたら、あ〜ら不思議、別メニューまで、まったく力むことなくスムーズに誕生して・・・・》ということだった

 これを、さっそく友人に話したところ、《それって、ウォシュレット効果じゃなくて、ただの浣腸効果なんじゃないのっ ?!?!》とのことだった。ま、確かにそうだっ(爆)。ともかく、1ヵ月間の、夫の秘密特訓の成果で、いまや彼はウォシュレット大好き人間になった。そして、フランスでも、単純機能のウォシュレットを簡単に購入できることがわかった現在、そう遠くない日に、我が家のトイレがウォシュレット使用になっていることは確かなことだろう。

 しかし、日本のトイレ革命はあくまでも私たち夫婦の先を行く・・・・・。この時の里帰りで、私は、新築したての知人の家に招かれた。この家の主は、最新なものが大好きだったことから、トイレに入ると、ドアの開け閉め&脱衣は自分でやるとして、他のすべては皆、機械任せというシロモノだったのには、私ですら驚いたっ!!!。便座の蓋の開閉なども全部機械まかせ。

 この私の経験の一ヶ月前に、横浜の某ホテルに宿泊していた私たち。部屋のトイレではなく、ロビーのトイレを選んだ夫だったが、彼がトイレに旅立ったあと、気がつくと20分以上が過ぎていた・・・・・。さすがに25分を過ぎた頃、《あれっ?、あのおっさん、脳溢血でも起こして死んだか?》と、心配し始めた頃、当事者がニヤニヤしてやってきた。

 で、《何してたの?》と尋ねると、あまりにもたくさんあるボタンに迷いに迷って、片っ端から押したりなんかして、楽しんでいたとのことだった・・・・・。例えば、単に流したいと思って、やっとボタンを選んで押したら、便座の蓋が機械音を鳴らして、ゆっくり閉まっていったりと、まるでSF映画のよう、とのことだった・・・・。


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