ゼロの視点
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2007年07月25日(水) うたた寝

 4月の中旬から5月の中旬まで、また、日本の実家にいた私。前回、日本でゴールデンウイークを過ごしたのは、1997年なので、実に10年ぶり・・・・、というわけだ。

 しかし、この時期は本当に気持ちがいい。実家の前の道路を挟んだ向かいには、学校があるのだが、その敷地内の木々が太陽を燦燦と浴びる姿が、窓から見える。そして時々吹く風に、サラサラという心地いい樹木の音を網戸越しに、子守唄かなにかのように耳にするうちに、まどろんでいく昼下がり・・・・・・。

 そう、私はこんなふうにして、よくこの実家で過ごしていたのだ・・・・。友人が来ているというのに、ああ・・っ、と、まどろんでいき、そのうち、友人もまどろんでいき、犬もまどろんでしまい、そして、結局みんなが、真昼間から深い眠りについてしまう、我が実家の居間・・・・。

 そんなところに、出かけ先から戻ってきた母が、居間で討ち死にしているかのような人間数人と犬を発見して、《いい加減にしなさ〜いっ、おきなさ〜イ !!!!!》と、よく怒られたものだったが、10年ぶりに、このさわやかな時期の実家で、同じようにまどろんでいるうちに、こんなことを思い出した。

 今回も、私のまどろみ仲間MF嬢と一緒に、あいも変わらずまどろんでいたのだが、思わず2人で《前だったら、この辺でゼロのおかあさんにたたき起こされていたよね〜っ !!!!!》と、爆笑したと同時に、もう、思う存分まどろめるんだ〜っ、と安堵する。

 が、人生皮肉なもので、たたき起こす母親の存在がなくなったというのに、たたき起こされなくとも、ずうっとまどろんでいられない身分になってしまったゆえ、自分で自分を律し、つまりは、自分で自分をたたき起こし、日常の雑事をこなしていかねばならない、というわけだ・・・・、ということで、ずうっとまどろんではいられないという無常・・・・・。

 MF嬢は、ふと起き上がり子供のお迎えですっ飛んで帰っていき、私は私で、母のいるグループホームの面会時間内に間に合わせるために、クルマに乗り込む・・・・・。

 さて、こんなふうに慌てて母のホームにやってきたというのに、母は母で、またマイペース・・・。

 昔から、私は家によく人を呼んできては、前述のようにみんなで、居間で延々とゴロゴロする・・・・、というのが習慣だった。で、その間よく、母は庭掃除したり、買い物いったり、パートへ行っていたりと、とにかく、私たちとは正反対に、《家の外》で多くの時間を過ごしていた。

 別に、私たちが母を追い出した・・・、というわけではない(笑)。が、なんでかしらないが、いつも、家に人がいると、彼女は外へ行ってしまっていた。

 母はホーム内で個室で過ごしているのだが、その個室に入って、最初のうちは2人で話をしたりしながら、テレビを見たりと、のんびりと過ごしている・・・・。が、ふと、母は《ちょっと行ってくるからね、ゼロちゃん》と言いながら、部屋を出て行こうとする。


私『どこ行くの』

母『ちょっと行ってこなくちゃいけないの』

私『だから、どこよっ !!!!』

母『だって、何も食べるものがないでしょ、だから買い物行ってくるわ〜』

私『いいじゃんべつに、今日じゃなくても』

母『バカね、ゼロちゃん、何言ってんの!!!!!、あたしが買い物しなくて誰がするのっ !!!!!』

私『あっそ、じゃ、行きたければ行けばっ !』


 という会話の後に、母は個室のドアを丁寧にしめて出て行ってしまった。で、部屋に取り残された私は、母のベッドの上でゴロゴロしながらテレビを見るはめになる。そして、そういえば、この部屋窓が開いてないな・・・、と、窓を開けて網戸にし、気持ちよくなったところで、またベッドの上でゴロ寝しながらテレビを見ていた私は、気がつくとうたた寝していた模様・・・・・。

 ホームには入居者が集っている広間があるのだが、母が、いつものようにそこで元気に仲間と過ごしているので、ホーム職員は、まさか母の部屋に娘がいるとは思っていなかったのかもしれない・・・・。母の洗濯物を、彼女の部屋に入れておこうと思って、とある職員がドアを開けた瞬間、ベッドの上に母とは違う人間が悠々とうたた寝していて・・・・・・・。

 私は私で、そのドアが開いた音で目が覚めた。職員と私の目と目があったまま数秒・・・・、妙に照れくさい笑いを双方でしながら、『あっ、どうも・・・・・』とわけのわからぬ、それでいて都合のいい日本語が、自分の口から飛び出していた・・・・・。


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