ゼロの視点
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2005年01月24日(月) 失われた時を求めて・10

 幼なじみの友人2人との旅行を皮切りに、色々な問題が吹っ切れてしまった私は、昨年の11月に味わった適応障害的な症状で苦しんだ時とは打って変わって、毎日が強烈に充実した日々を送った。

 そして、明日はパリに戻るという現在、私は何をしに日本に戻ってきたのか?、と考えれば考えるほど、それは、自分の遣り残したこと、残してきたものに直面して、それを自分なりに消化することではなかったか?、と思えてならない。

 奇しくも、それは母がボケはじめるということで始まったのだが、こんなことでもなければ、3ヵ月も里帰りすることがなかっただろう。

 同じ国に住んでいても、実家に3ヵ月も戻るということを、果たしてどのくらいの人がするだろうか?!?!?!。また、それが可能だろうか?!?!?!。仕事があったり、子供に追われたり、なかなかここまでまとまって実家に戻れるということはないと思われる。

 そして、実家に戻ったことで、それをさりげなくサポートしてくれる幼なじみたち。なんとありがたいことか。

 また、あらたに出来た人間関係といえば、母をめぐる介護スタッフのメンバー。彼女らの、時にはプロフェッショナル、時には職を離れた人間的な優しさにサポートされ、今、私と母の周りには、新旧入り混じった素晴らしい人間関係が存在している。

 奇しくも、それは、遣り残したものと対面し、苦悩しながら、どうにか新天地を開いた私自身のようでもあり、この3ヵ月の体験は生涯忘れることはないだろう。

 今、私の中には、フランスと日本の違いは以前より存在しない。今、日本に戻れば、それはそれで充実して生活していけると実感している。そして、フランスはフランスで、もっと充実して生活していけるとあらたに思えるようになった。

 双方の差を意識したのは、あくまでも私であり、また、この生活を選択したのも私である、ということに、今は力むことなく、受け入れられるようになったことの開放感といえばよいだろうか。

 母のこともしかり。私がどんどん調子よくなると同時に、もの忘れはあるものの、調子がよくなっていった母。

 昔のように、シューベルトの鼻歌を歌い家事をしている母の横で、昼寝をしていたら、なんともいえない幸福感をしみじみと感じたものだった。そういえば、私がピリピリしていた時には、彼女は鼻歌も歌ってなかったな・・・、と。

 そして、恐らく、孤独感に苛まれていた頃の母は、その頃から鼻歌を歌うことをやめてしまっていたのかもしれない。が、今、ケアマネージャーらと色々と打ち合わせをしていると、私がいようといまいと、彼女なりに相当明るく生活しているとのこと。なんとも、嬉しいニュースだ。

 どうやら、今のところ、彼女の介護プランもうまく作動していて、デイサービスには皆勤賞で通いつめている母がいる。

 『親孝行をしろ』という曖昧でありながら、強制的な言葉に翻弄された私でもあったが、むやみに旅行へ連れて行くことが親孝行であるのでもなく、本当にその人にあった、さりげないサポートというのが親孝行であり、本当の愛ある行為なんだろうな、とわかりかけてきたゼロでした。

 いつかは、母も何もできなくなってしまう日がくるのだと思う。とはいって、それを不安に思い、今からなんでも取り上げていってしまうことが、いかに介護する側のおごりか?、と思えてならない。

 また、それを私に暗に薦めてくる人もいる。自分たちが不安だから、それを私に押し付けてくるのだ。が、それは自分の不安であり、母のソレとは違っている。すくなくとも、現時点では。

 ひとりで暮らしているから残っている能力というのも、たくさんあると確信した。確かに昔と比べると、能率は落ちている。が、だ。それを今、不安だからといって、全部とりあげてどうするのだ?!?!?!。

 これらを強いる人間に問いたい。自分がこうなったらどうるすのか?!?!、と。少なくとも、私だったら、耐えられない、とだけ、答えておきたい。

 細切れで母の生活を観察しただけでは、判断は不可能。ゆえに、生まれたときから知り尽くした娘が、その母の生活をじっくり観察した上でだした判断なのだということを、ここで無責任に口出しする人間に、宣言しておきたく、今回書いたというわけであります。

 この点に関しては、私の高校時代から我が実家に半分住んでいたともいえる、幼なじみMF嬢が、あらたに私と母との関係を判断してくれたことに感謝、感謝。

 そして、脳梗塞後遺症である母を抱えるYK嬢、いつも私の隣で母と私を家族ぐるみで精神的にもサポートしてくれるMT嬢とその家族、革命を起こしているいとこH嬢、遠くからスピリチュアルな面でサポートしてくれたS嬢、心優しいレイキマスターC嬢、をはじめ、母の見守りを続けてくれる隣人の方々、メールなどを通して励ましてくださった友人・知人達、本当に、本当に、ありがとう。

 そして、最後の最後に、どこまでサポートしてくれているのかサッパリわからず、ただ嫌がらせしてるだけか?!?!?!、と、強烈にイライラさせてくれた、夫よ、それでも、なんか、きっとあなたなりのサポートもあったのだろうから、メルシーボクー(笑)。


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